11日10日付 バイデン氏が“勝利”できた6つの理由 最終決着は12月14日の「選挙人投票」か

米大統領選はまさにジョー・バイデン前副大統領が9回裏に逆転サヨナラホームランを放ったと言っていい。 ドナルド・トランプ米大統領は11月4日未明(米東部時間)ホワイトハウスで、激選州オハイオの勝利に続き大接戦のフロリダ州を制した直後、一方的に「勝利宣言」を行った。 その背景には焦点とされた中西部のウィスコンシン、ミシガン両州と東部のペンシルベニア州で世論調査とは裏腹に開票初期段階でバイデン氏に先行したことがトランプ氏を強気にさせたのだ。 ところが、その後はオセロゲームとなった。
 ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニア州が相次いでひっくり返された。そして最後は「ハチの一刺し」ならぬ西部ネバダ州だった。 
 因みに同州最大都市ラスベガスにトランプ氏の盟友で「カジノ王」シェルドン・アデルソン氏の「ラスベガス・サンズ」がある。トランプ氏はギャンブルの街に報復された感が強い。 大統領選終盤でリードしたバイデン氏は土壇場でトランプ氏の猛追に晒され「奇跡の逆転」を許すかに見えたが、期日前投票・郵便投票という切り札で勝利を掌中に収めた。▶︎

▶︎これこそが共和党のシンボルカラー赤色にちなみ「赤い蜃気楼」と呼ばれた現象だった。 では、なぜバイデン氏が勝利できたのか。そのヒントは米メディアの出口調査から見て取れる。①バイデン氏(以下「B」)が予想を超える若年層の支持を得た。②トランプ氏(以下「T」)は岩盤支持層の白人男性(非大卒)票を減らした。③B氏は黒人・ヒスパニック男性票を減らした。④T氏が予想外に白人女性票を増やした。⑤B氏が事前の世論調査に違わず「ラストベルト」(錆びた工業地帯)で勝利した。⑥激戦6州の殆どでB氏支持の都市部票にT氏支持の地方票が追い付かなかった――などが挙げられる。 
 だが、トランプ氏は7日夜の記者会見で「違法な選挙でなければ勝てた」と、郵便投票が公正ではなかったとの持論を繰り返しただけだった。 
 恐らく最終決着は12月14日の「選挙人投票」であろう。ここで注目されるのが米最高裁である。実は、10月末にペンシルベニア、ノースカロライナ両州の郵便投票の有効期限を巡る訴訟について、判断は各州に委ねられるべきとの判決を下し、その延長は認められた。保守系判事多数といえども、トランプ氏が頼む最高裁は既に米国が依然として法治国家であることを示しているということである。