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オバマ次期米政権の外交・安保チーム

 アメリカのオバマ次期政権の外交・安保政策を担う実務責任者のラインアップが見えてきた。国務省にあってヒラリー・クリントン次期国務長官の下で外交政策全般を所管する副長官にジェームズ・スタインバーグ元大統領次席補佐官(国家安全保障担当・前テキサス大学教授)、組織管理・予算を所管する副長官にジェイコブ・ルー元行政管理予算局(OMB)局長が指名された。スタインバーグ、ルー両氏はともにクリントン政権時代のメンバーだ。
 日本との関連で注目されるのは政治担当次官と東アジア太平洋担当次官補に誰が就くのかということである。私が現時点で得ている情報によると、次官にはクリストファー・ヒル次官補が昇格する可能性が高いという。上昇志向の強い国務省プロパーのヒルは、もともと民主党員でありながらブッシュ・ファミリーの縁戚ということから自らを売り込んで駐韓大使から次官補に転出した経緯があった。そのヒルが六カ国協議では一貫して日本の頭越しに北朝鮮との直接交渉を行ってきたことから、外務省(薮中三十二事務次官)はヒルを「天敵」と位置づけている。そのヒルが次官に昇格することなど想像すらしたくないというのが省内コンセンサスだ。
 一方、次官補にはカート・キャンベル元国防次官補代理(国際関係担当・前戦略国際問題研究所=CSIS副所長)が有力視されている。キャンベルは大統領予備選段階でのクリントン陣営の外交・安保政策チームの中心に位置したこともあり、クリントン次期長官のイニシアチブによる人事となる。実は、下馬評ではジェフリー・ベーダー元国家安全保障会議(NSC)アジア担当上級部長が確実視されていた。というのも、オバマ陣営のアジア政策の取りまとめの責任者が、中国問題のプロフェッショナルのベーダーであったからだ。事実、ベーダーは国務次官補(東アジア太平洋担当)に強い意欲を持っていると言われていた。ベーダーは恐らく、再度のNSCアジア担当上級部長としてホワイトハウス入りするのではないか。
 日本メディアのワシントン電では、キャラの強いヒラリーがオバマ政権の外交イニシアチブを握るとの見方を紹介している。が、事実ではない。むしろ「存在感が薄い」(読売新聞)と伝えられているジョセフ・バイデン次期副大統領(前上院議員)と、次期国家安全保障担当大統領補佐官のジェームズ・ジョーンズ元NATO軍司令官の2人が、留任のロバート・ゲーツ国防長官と連携して外交・安保政策での主導権を握ると思われる。ゲーツはイングランド国防副長官以下現職の国防総省幹部の再任をオバマ次期大統領に求めているが、来夏までにはリチャード・ダンジグ元海軍長官(前CSIS首席研究委員)に副長官を差し代えるはずだ。ダンジグはビル・クリントン元大統領とは同じ英オックスフォード大学ローズ奨学生だが、早くからのオバマ陣営の安保アドバイザーであった。
 いずれにしても、米次期政権の外交・安保政策のプライオリティは、第1がアフガン対策、第2はイランを含めた対中東対策である。未曾有の金融危機直面との関連で言えば、アジア政策については、明らかに中国重視のスタンスとなるのは間違いない。