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鳩山首相の“オバマ置いてけぼり”

 バラク・オバマ米大統領を乗せた大統領専用機(エアフォースワン)は11月13日午後4時30分、羽田空港に到着する。首相官邸で同日夕、鳩山由紀夫首相との日米首脳会談が行われ、同夜には首相主催の歓迎夕食会が開催される。  
 今、日米関係者の間で密かに囁かれている「謀略史観」めいた話を紹介したい。同14日からシンガポールで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会合に関わるものだ。オバマ大統領は翌14日午前10時、東京・赤坂のサントリーホールで「アジア政策」に関する演説を行う。世界中に大きな波紋を読んだ4月のプラハでの「核廃絶」演説に続くものと位置づけられるものだ。そして同日昼には皇居御所で開かれる天皇、皇后両陛下主催の午餐会に出席、そして午後4時30分シンガポールに向かう。  
 ところが、鳩山首相は何と13日深夜11時55分に、政府専用機でシンガポールに発つのである。14日午前に同地で予定されている日本広報センター開設式に出席するためというのが、官邸サイドの説明だ。同式典にシンガポールのリー・シェンロン首相が出席することも無視できない、と外交当局は言う。しかし、オバマ大統領が天皇、皇后両陛下と会見するというのは、外交儀礼上、準公式訪問の扱いである。だが、ホスト役の鳩山首相が、ゲストである同大統領を東京に置いて一足先に出発することは、まさに「非礼」ではないかという声が関係者の間で上がっているのだ。  
 なぜ、鳩山首相は“置いてけぼり”を食らわすのか。その理由が奮っている。オバマ大統領は当初、12日来日・13日離日の日程を外交ルートを通じて日本側に伝えてきていた。ところが、テキサス州フォートフッド陸軍基地で起きた乱射事件の追悼式に出席のため訪日日程を一日ずらし欲しいと要請してきたので、鳩山・オバマ会談は12日夕から13日夕に変更された。天皇の在位20周年関連行事は、12日の国立劇場での式典、13日には皇居での首相以下全閣僚出席、在京外交団らとのお茶会が4回ある。従って、天皇陛下主催の歓迎宮中晩餐会も同日夜に予定されていたのだ。オバマ訪日日が13日にずれ込んだため、全ての日程が変更を余儀なくされた。
 ワシントンの消息筋によれば、この間の普天間飛行場移設問題での日米協議の不調、さらには米側が強く求める「年内決着」に鳩山首相が難色を示していることに対し、オバマ政権は不快感の“意思表示”として日程変更を行ったのではないかというのだ。これを受けて、鳩山官邸も「あちらがそうなら、こちらにも考えがある」といって、“置いてけぼり”を強行することを決めたというのが、「謀略史観」に基づく解説なのだ。信憑性のほどは分からない。
 ただ言えることは、現下の日米関係はそれほど深刻な状況にあるということだ。2002年6月のカナナスキス・サミット終了後、当時の小泉純一郎首相が、大のサッカー好きのシュレーダー独首相が政府専用機のスケジュール調整ができずに日韓ワールドカップ決勝戦(横浜開催=ドイツvsブラジル)を観戦できないと悩んでいるのを知り、日本政府専用機に同乗させ間に合わせたことがあった。「日米同盟」堅持を言うのであれば、鳩山首相がエアフォースワンに同乗してもよかったし、出発を半日遅らせてオバマ大統領を日本政府専用機にお誘いしてもよかったのではないか。いずれにしても、日米関係に暗雲が立ち込めていることだけは間違いない。
                                              (11月11日記)