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トランプ政権の「中国隔離」戦略
 

  米中対立は今や貿易戦争の域を超えてデジタル覇権抗争のコリジョンコース(最終衝突局面)を突き進み,もはや後戻り出来そうにない。その象徴が,アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで米中首脳会談が行われた12月1日,トランプ米政権の要請を受けたカナダ司法当局が中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)創業者の娘・孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)を逮捕したことだ。米国が経済制裁を課すイランに違法に製品輸出,違法な金融取引をした容疑である。米国の“本気度”は,実は8月13日成立の外国投資リスク審査近代化法(FIRRMA)と4月17日成立の輸出管理改革法(ECRA)に窺える。米国では対米外国投資委員会(CFIUS。財務,司法,国土安全,国防,国務,エネルギー省,通商代表部,科学技術局の各長で構成され,大統領又は財務長官が個別案件ごとに適当と認める行政機関)が安全保障の観点から対内直接投資を審査する。昨年11月に中国を念頭に対内投資管理強化を目的に米議会が超党派で提案,FIRRMAが成立した。そしてその本格的施行に先駆けて外国投資がもたらす米国の安全保障に対するリスクを緊急に評価・対処するためにCFIUSに与えられた「パイロット・プログラム」は凄じいの一言である。その概要は,機微技術を保有する企業のうち指定27業種に対し当該企業の支配権を得る投資,支配権を得ない小規模投資に関わらず,非公知機微情報へのアクセス,機微技術の利用への意思決定関与等はすべて事前申告が義務化されたのだ。エマージング技術の海外移転の制限を強化する目的で成立したECRAは,中国への輸出管理強化を念頭に置き,米国製品輸出に関する規制見直し,合弁会社設立の契約等で「外国株主」に関する開示義務など詳細に網が掛かっている。エマージング技術とは,ロボティクス,AI(人工知能),3Dプリンタ,集積回路,ビッグデータなど多岐に及ぶ。要は,ファーウェイをZTE(中興通訊)に続き世界市場から排除するということだ。(以下略)

      No.578 2018年12月10日号

・2019年は日産ゴーン事件で日本の刑事司法が問われる
・「2025年問題」より「2040年問題」が深刻
・教育界で注目される自民党岸田派と革新校長の関係
・「官」の障害者雇用率偽装が「民」に打撃
・本誌読者のための「正月休みの一冊」