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「米中貿易戦争」は全面戦争へ
 

  終に『日本経済新聞』(7月7日付朝刊)は一面トップ記事の大見出しに「米中,貿易戦争―米制裁関税発動,中国は報復」と掲げ,初めて「貿易戦争」というワーディングを使った。「ツキジデスの罠」という言葉がある。ツキジデスは古代アテネの歴史家で,代表作にペロポネソス戦争を実証的な立場から著した『戦史』がある。同書では紀元前5世紀のアテネの台頭と,それに対するスパルタの恐怖が,回避できなかったペロポネソス戦争を引き起こしたと記されている。そしてギリシャの歴史に精通している米ハーバード大学のグレアム・アリソン教授(クリントン政権の国防次官補。同大学ケネディ行政大学院初代学長)が昨年出版した『Destined for War』(日本語版『日中戦争前夜』)の中で「ツキジデスの罠」という言葉が紹介されているのだ。要は,新旧の大国の衝突が避けがたい事態を意味する。因みに,アリソン教授は昨年7月,当時のヒューバート・マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)に招かれ,国家安全保障会議(NSC)幹部にレクチャーしている。その内容はもちろん,「ツキジデスの罠」を分析することで,当時の「米中関係」の正しい認識に繋がり,将来の米中衝突の回避策を探ることであった。トランプ政権は当時すでに米中衝突という「コリジョンコース」(そのまま進めば衝突になる進路)も想定していたのだ。ところがその結果は,米中衝突から米中貿易戦争にエスカレートしたことになる。ドナルド・トランプ大統領に更迭されたマクマスターの後任に対中強硬派のジョン・ボルトンが就任,さらに昨年4月に国家通商会議(NTC)委員長を更迭されて通商製造政策局長に格下げされた上にホワイトハウスから追われたピーター・ナバロは年初に大統領補佐官(通商政策担当)として復権した。ホワイトハウス西棟に執務室を得て「I am back」(帰って来た)と叫んだというナバロはボルトン以上の対中強硬派である。 (以下略)

      No.569 2018年7月10日号

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