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安倍官邸を悩ます自動車関税25%
 

  7月21〜22日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで開かれた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の参加者たちは,トランプ米政権による保護貿易主義を口々に批判した。日本のメディアはそのように会議の模様を伝えたが,財務相や中銀総裁たちが懸念したのは,むしろ直近の金融・為替市場で起きている異変である。米国のドルが独歩高となり,新興国通貨が軒並み安となっている。なかでも中国の人民元は7月19〜20日にかけて1j=6.8元を窺うつるべ落としとなった。3月末には6.25j台だった対ドル元レートは,6月半ばに6.3元台後半に弱含んだ後,足元は6.8元すれすれまで急落している。ドナルド・トランプ大統領は「石のような下落」と表現し,中国当局が人民元安の容認による輸出のテコ入れを図っていると非難している。米中の貿易摩擦が激化したのは6月半ばから。7月6日には米国が「1974年通商法301条」を発動し,中国からの輸入340億j相当に25%の制裁関税を発動。中国も即座に同額の報復関税を実施した。この340億jのほか,160億j相当の対中輸入に対しても,米国は7月中にも制裁関税をかける見込みで,中国もさらに対抗措置を講じる。ここまでは当初の読み筋だったが,トランプは7月10日に対中輸入2000億j相当に10%の制裁関税を打ち出し,その後さらに対中輸入の総額に相当する5000億jへの制裁関税を打ち出した。ゲイリー・クーパーの西部劇「真昼の決闘」よろしく,ハイテク分野で台頭する中国経済バッシングに出ているのだ。ここで注目すべきは2017年の米中の貿易取引である。米国の対中輸入が5000億jなのに対し,中国の対米輸入(米国の対中輸出)は1300億jに過ぎない。その差額である3700億jが米国の対中赤字(中国の対米黒字)になっているのだが,こと制裁関税の対象となると中国は対米輸入の1300億jにとどまる。制裁をエスカレートさせていった場合は,対米輸出に頼る度合いの大きい中国が不利となるのは明らかである。(以下略)

      No.570 2018年7月25日号

・野田総務相の総裁選出馬が仮想通貨問題で危うくなる?!
・労働時間短縮でも減らない「過労自殺」
・米国の自動車関税引き上げとマツダのディーゼル戦略
・金融庁が厳しい視線を向ける退職生活者向けリバースモーゲージ
・本誌読者のための「夏休みの一冊」