No.617 9月25日号 菅義偉首相の「改革志向」の本気度

 菅義偉新首相の改革志向はホンモノなのか——。首相就任後,自らが唱える「縦割り行政の打破」を目指す目玉政策の実行を平井卓也デジタル・IT政策担当相,武田良太総務相ら担当閣僚に指示した。その一つが,連日,新聞等で報道されているデジタル庁創設構想である(別稿も参照)。
菅が官房長官時代の7月17日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2020」(骨太の方針2020)に次のような件がある。
<「新たな日常」構築の原動力となるデジタル化への集中投資・実装とその環境整備(デジタルニューディール)と我が国社会全体のデジタル化を強力に推進する。
まずは,デジタル・ガバメントの構築を,言わば一丁目一番地の最優先政策課題として位置付け,行政手続きのオンライン化やワンストップ・ワンスオンリー化などの取組を加速する。
また,民間部門のDXを促進し,民間の投資やイノベーションを誘発する環境づくりを進める。>
ここに既にデジタル庁構想が潜んでいたのである。▶︎

▶︎さらに言えば,昨年8月に経済産業省のデジタル志向が強い若手の精鋭6人と民間人7人の勉強会が作成した報告書『21世紀の「公共」の設計図』(商務情報政策局内限りで未公表)に同庁構想の萌芽が盛り込まれていたのだ。
菅の「政治の師」である故・梶山静六元官房長官を想起すれば理解できることだが,商工族だった梶山のDNAを菅もきちんと引き継いでいるのである。
事実,菅は小泉純一郎政権の中川昭一経産相(故人)の大臣政務官を務めたが,自身が自民党経済産業部会の副部会長時代の「同志」として平井デジタル・IT相,梶山弘志経産相,平沢勝栄復興相,山口泰明選対委員長が名を連ねている。
平井は23日に官邸で開かれたデジタル改革関係閣僚会議の記者会見で,内閣官房,総務省,経産省などから40〜50人規模を集めた準備室を月内に立ち上げると言明した••••••(以下は本誌掲載)申込はこちら