No.622 12月10日号 菅義偉首相の“安倍離れ”

政府は12月8日の臨時閣議で追加経済対策(「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」)73.6兆円(事業規模。以下同じ)を決定した。
気候変動による温暖化対策と官民のデジタル化など中長期の成長戦略(ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現)に51.7兆円と全体の約7割を充てるものだ。菅義偉首相は臨時国会閉会に際して4日に行った記者会見で,温暖化ガス排出「実質ゼロ」とデジタル化の2本柱で経済再生に取り組むと言明した。
具体的には,2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標に向けて環境分野での技術革新に投資する企業に対し2兆円基金を創設するというものだ。
同日の経済財政諮問会議(議長・菅首相)でも,新型コロナウイルス感染症の拡大防止策に6兆円,防災・減災,国土強靭化対策5.9兆円の他,脱炭素の水素や蓄電池などの研究開発に10年で2兆円,官民のデジタル化推進に1兆円を充てることを確認した。
想起すれば,菅は9月14日の自民党総裁選で掲げた公約「自助・共助・公助,そして絆―地方から活力あふれる日本に!」の最後のパラグラフに《脱炭素化などの温暖化対策,エネルギーの安定供給に取り組みます。》と記していた。▶︎

▶︎日頃,永田町をカバーするマスコミ各社記者は菅がエネルギー政策に多大な関心を抱いているとの認識を持っていなかった。ところが今やデジタル化と脱炭素が菅政権の看板政策となっている。
『日本経済新聞』(8日付朝刊)は1面トップに見出し「水素30年に主要燃料に―目標1000万トン,国内電力1割分」を掲げて以下のように報じた。
《2050年の温暖化ガス排出量実質ゼロを実現するには二酸化炭素(CO2)を出さない水素の活用が不可欠で,欧州や中国も力を入れ始めた。発電や燃料電池車(FCV)向けの燃料として利用を増やし,コストを引き下げて普及につなげる》。
先の2兆円基金は経済産業省所管の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に設置される。
ここで注視すべきは脱炭素=脱化石燃料の温暖化対策の肝である原発再稼働問題と再生可能エネルギー政策がリンクしていることである。水素開発については昨年6月のG20首脳会議直前に開催された「持続可能な成長のためのエネルギー転換と地球環境に関する関係閣僚会合」で経産省と国際エネルギー機関(IEA)が発表した「水素レポート」にエネルギーシステムの脱炭素化に果たし得る幅広い可能性について言及されている…(以下は本誌掲載)申込はこちら

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