No.623 12月25日号 「アリの目線」の菅義偉首相

政府の国家戦略特別区域諮問会議(特区諮問会議。議長・菅義偉首相)と規制改革推進会議(議長・小林喜光三菱ケミカルホールディングス会長)の議長座長会合の合同会議が12月21日に首相官邸で行われた。両会議が合同で行われたのは初めてで,菅首相が規制改革への取組姿勢をどう示すかが注目された。
 特区諮問会議関連では工場新増設の促進のための関係法令の規制緩和や,都市開発プロジェクト促進のための建築基準法の特例の創設,スーパーシティ構想の早期実現など10項目の施策が決定されたが,1つだけ「首相預かり」となった。それは,すでに特区に指定されている兵庫県養父市で2016年から特例として認められている「企業の農地取得」に関する特例だ。
 事務方が養父市での特例を「延長」することを準備し,坂本哲志地方創生担当相が提案したところ,河野太郎行政改革担当相が,特区で成果を上げたものは全国での規制緩和を行うのが筋だとして反対。民間議員の八田達夫大阪大学名誉教授や竹中平蔵東洋大学教授もこれに同調して会議の席上,対決モードになったため,首相が割って入り「預かる」ことでその場を収めた。
 養父市では職員から市長になった改革派の広瀬栄市長が,国家戦略特区に名乗りを挙げ,次々に改革を打ち出した。中でも「企業の農地取得」とそれと関連する「農業委員会改革」には全国の農協組織などが反発。一時は養父市に反対派が押しかける騒ぎになった。▶︎

▶︎これまで規制改革を主導してきた宮内義彦オリックス元会長が特区応援団となっていることもあり,同社関連企業が養父市で野菜工場を手掛けたり,農地を取得したことも呼び水になり,企業の農業参入による6次産業化などもあって同市で100人の新規雇用が生まれたという。 「農業委員会改革」は,農地の売却や賃貸,農地外への転用などについて認可権限を握ってきた農業委員会の機能を市長に移すことができるようにするもので,これはすでに全国展開され規制が改革された。
 同様に「企業の農地取得」についても全国展開すべきだというのが改革派の主張だが,新規参入を嫌う農協などの意向を受けた農林水産省は養父市限定の「特例」に押し留めようとしているとされる。特例認定は5年間の時限措置のため,国会での特区法の改正が必要になる。特区担当の坂本が事務方用意の改正案に乗って説明したことから,改革派メンバーが一斉に反発したのが理由だった。
 また,この日の会議には養父市長の広瀬が出席を希望したものの,事務方に拒否されていたため,広瀬は手紙を送付,それが会議資料として配布された。その手紙で広瀬は「今回,特に『企業農地取得』について『順調でなく,進展していない』という全く事実ではないことが,政府与党の関係者に伝わり広まっているという話をお聞きしました。養父市の現場すら全く見ていない人たちが政治家の方々に虚偽説明を行っているとしか考えられず,誠に憤りを禁じ得ません」と怒りを露にしている…(以下は本誌掲載)申込はこちら

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