2月24日付 菅政権中枢に佐藤内閣の系譜を引く政治家3人 政治は「縁」 首相の座は河野一族の悲願

古い写真だ――。1964年11月9日に発足した第1次佐藤栄作内閣の記念写真である。 旧首相官邸の玄関ホールから右手にあった通称「西階段」と呼ばれた場所で撮影された。 
 前列中央が佐藤首相、右隣は河野一郎副総理、左隣が赤城宗徳農相、河野副総理の右隣は小泉純也防衛庁長官、赤城農相の左隣が石田博英労相。 佐藤、河野両氏の後は愛知揆一文相、その右後に畏まった顔付きの田中角栄蔵相がいる。 なぜ、ここでこの写真を取り上げたのか。もちろん、理由がある。 前列に写る3人が、まさに現在の菅義偉政権の要路を占める人物の縁者なのだ。 
 河野一郎は河野太郎規制改革相兼ワクチン担当相の祖父であり、小泉純也が小泉進次郎環境相の祖父である。そして佐藤栄作は阿達雅志首相補佐官(参院議員)の義祖父なのだ。 
 河野太郎氏は政界切っての名門一族の出である。父の洋平氏は副総理・外相、自民党総裁、衆院議長経験者。祖父の一郎は農相、建設相、副総理・東京五輪(1964年)担当相。大伯父の謙三は参院議長を歴任した。 謙三を除くと、一郎、洋平両氏はともに首相・総裁一歩手前で逃している。太郎氏が掌中にすれば河野一族の悲願が叶うことになる。▶︎ 

▶︎小泉家も政治家4代の名門だ。戦前の民政党代議士だった小泉又次郎は同党幹事長、浜口雄幸内閣の逓信相を歴任した有力政治家だ。その娘婿で純一郎元首相の父・純也は、豪傑肌の又次郎、一匹狼的な純一郎氏と違って温厚な人柄でハンサム。だが一本気な性格で、政治的にブレが少なく、卓越した国会演説で知られた。純一郎氏は政治姿勢にブレが少なく、根はタカ派(新保守)という点で父の遺伝子(DNA)を継承している。
 同氏はかつて「私の家は安保一族なんだ」と語っているでは、進次郎氏はどうなのか。菅政権の目玉政策「脱炭素」に乗り、存在感を強めている。米シンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)に在籍した経験がある同氏は安全保障政策にも関心を抱く。そして、外交・経済担当首相補佐官の阿達氏。菅首相に再生可能エネルギー政策についても建言していることは永田町では周知の事実である。
 政治は「縁」である。佐藤内閣の系譜に連なる政治家が今、菅政権中枢に位置する。その菅氏は田中角栄氏の系譜を引く梶山静六元官房長官を「政治の師」と仰ぐのだ。