3月30日付 米中外交トップ会談、人種差別批判に頭を抱えた米高官

 3月18~19日の2日間、米アラスカ州アンカレジで行われた米中外交トップ会談は実に示唆深いものだった。 
 幾つかのファクト(事実)を紹介し、今後の米中関係を見据える上での参考にして欲しい。 先ずは米中両国の出席者の席次から見えて来ることを指摘したい。 
米側:ブリンケン国務長官、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、フォーデン駐中国臨時代理大使、キャンベル大統領副補佐官(安保担当)、ローゼンバーガー国家安全保障会議(NSC)中国担当上級部長、フリッツ国務次官補(中国・モンゴル・台湾担当)。 
中国側:楊潔篪共産党政治局員、王毅・国務委員兼外相、劉建超共産党中央外事工作委員会弁公室副主任、崔天凱駐米大使、謝鋒・外務次官、陸慷・外交部北米大洋州局長(米中両国共に序列順)。 
キャンベル氏の向かい側に着席しているのは崔駐米大使であり、NSCのインド太平洋調整官兼務の同氏が副長官級であることが理解できる。日本の外務省が知日派の同氏の果たす役割に期待するのはバイデン政権における上位ランキングであるからだ。米テレビで映像が流れたが、キャンベル氏はノートを取りながら頭を抱えていた。 ▶︎

▶︎習近平国家主席(共産党総書記)の最側近である楊氏がブリンケン氏の中国統治制度批判に対して猛反撃に打って出た際のリアクションであった。その楊氏発言は次のようなものだった。 
《米国が直面する人権問題は根深い。BLM(黒人の命も大切だ)運動のように、これまで4年間に噴出したものばかりではない。最近になって出てきたものではないのだ。両国が抱える問題について責任を誰かに転嫁するのではなく、この世界では我々自身でうまく管理することが重要なのだ。》 要するに、香港、新彊ウイグル自治区、チベットなどでの人権侵害を言い募るが、米国にも直近のBLMだけではなく人種差別の長い歴史があるではないか、と逆ギレしたのだ。この想定外の批判に頭を抱えてしまったということだ。双方の批判合戦は想定していたものの、会談冒頭の頭撮りで楊氏が17分39秒も反論して来るとは、さすがの知中派のキャンベル氏も予想していなかった。 
 もう一つ。2月10日のバイデン・習近平電話会談が終始融和的だったと明かしたが、ブリンケン氏はそれを否定しなかったことだ。然るに、ブリンケン氏はバイデン大統領の対中融和姿勢の修正を図るためにことさら強硬発言を行ったということだ。