5月31日付「菅首相周辺に9・16衆院解散説ーワクチン接種と五輪開催 総選挙の弾みに」

東京23区と大阪市に住む65歳以上の高齢者向けの新型コロナウイルスのワクチン接種が5月24日から東京、大阪2カ所に設置された自衛隊大規模接種センターで開始された。 宮城、群馬、愛知の3県も同日に独自の接種会場を設置、接種を始めた。政府は今月末から6月初旬に東京、埼玉、千葉、神奈川、大阪、京都、兵庫など7都府県に対象を広げて、3600万人の高齢者への接種を進める。
 菅義偉首相は3度目の緊急事態宣言の延長を決めた5月7日の記者会見で、「私自身が先頭に立ち、接種の加速化を実行する」と大見得を切った。だが、9日時点で高齢者のうち1回目の接種が終わった割合は全国で0.9%、東京都は0.6%にとどまり、遅々として進まない接種状況に国民の不満は頂点に達した。事実、同時期に実施されたNHKの世論調査でワクチン接種進捗について82%が「遅い」と回答していた。
 ところが、16日になると高齢者対象の接種率は全国が2.9%、東京都は2.3%と多少の進展が見られた。そして遅れが顕著な大都市圏対策として自衛隊を投入してから27日には全国が10.1%、東京都は11.1%と、接種率の向上が著しいものになった。▶︎

▶︎こうした中で、菅首相は胸中で7月23日に開会式を迎える東京五輪・パラリンピックを「やるしかない」と決めている。 と同時に、9月5日のパラリンピック閉会式後の衆院解散・総選挙を視野に入れ、今秋の国会日程の調整を始めたようだ。
 首相周辺によると、9月6日に臨時国会を召集し、菅首相の所信表明演説と麻生太郎財務相の財政演説を行い、同13~15日に21年度第1次補正予算案を提出・成立、直後の16日にも衆院を解散するというのである。衆院選の日程は2通り考えられる。①9月28日公示・10月10日投開票、②10月5日公示・17日投開票、のいずれかである。 コロナウイルス感染のパンデミック(世界的大流行)という「有事」の現在、ワクチン接種率3割超まで待つべきとの見方が永田町では支配的である。
 即ち、衆院議員任期満了選挙説だ。しかし、菅氏周りではいざ五輪が始まり、日本の金・銀・銅メダルラッシュとなれば必ず「五輪フィーバー」が巻き起こり、その余韻が醒めぬうちに解散・総選挙に踏み切るべきとの声が強い。合理主義者の菅氏でも縁起を担ぐのか、「大安」の9月28日公示、「先勝」の10月10日投開票に傾いているとされる。