米大統領選は2週間後の11月3日である。 最大の焦点は激戦6州のうちフロリダ州とペンシルベニア州である。 特に東海岸フロリダ州の選挙当日夜の開票速報に注目すべきだ。
広大な米国には時差がある。ワシントンなど東海岸とロサンゼルスなど西海岸との間には3時間の時差がある。 時差の関係からフロリダ州では開票が進む中で、米メディア各社の世論調査の結果が他州に先駆けて最も早く報道される。
加えて、問題視された郵便投票を認めた同州では早期開票集計が行われるので、その結果についても概ね判明する。 つまり、全米ネットの各テレビ局は第1報を競い合うのだ。 仮に民主党のジョー・バイデン前副大統領の「勝利」と伝えるようであれば、大統領選挙人の数が29人とカリフォルニア州、テキサス州に次いで多いフロリダ州の投票結果から全州の勝敗を占うことができる。 筆者の手元に届いた著名なユーラシア・グループ代表のイアン・ブレマー氏のニューズレター「up date」は「65%の確率でバイデン氏勝利」とある。
また、ワシントンの共和党系コンサルタントのカール・アイゼルバーグ氏が発行する「Monitor」は早くも「バイデン政権名簿」を紹介している。 ▶︎
▶︎では、バイデン氏優勢は本当なのか。 新型コロナウイルスの治療を終え、退院したドナルド・トランプ大統領が遊説再開の場に選んだのはフロリダ州だった。 10月12日、同州サンフォードの空港内特設会場で数千人の聴衆を前に「トランプ節」を炸裂させた。
テレビニュースで観た印象であるが、「もう(1期)4年」を叫ぶ老若男女の熱狂ぶりからトランプ支持の岩盤層は侮れないと感じた。 筆者が承知する外務省の分析でも、フロリダ州はトランプ氏優勢、ペンシルベニア州がバイデン氏優勢である。 そこへ興味深い情報が飛び込んできた。10月10日付の郵便投票動向だ。 全米郵便投票数740万人(民主党比率55%、共和党25%、中道10%)だが、民主党比率が高いペンシルベニア州の郵便投票数が17万人とフロリダ州120万人に比べて極めて少ない。
トランプ氏が同州を制すれば、選挙人票は269対269の同数になり、米憲政史上3回目の決選投票となる。決めるのは各州1票の下院議員である。ところが同州選出下院議員は共和、民主が同数のため、最後は米最高裁が決定することになる。