アントニー・ブリンケン米国務長官は3月15日夕、国務長官専用機で羽田空港に到着する。 同15~18日まで日本と韓国を訪れ、両国との同盟関係を強化するという米国のコミットメントを再確認し、インド太平洋地域の平和、安全、繁栄を促進すると表明する。
16日には東京・麻布台の外務省飯倉公館で開催される茂木敏充外相と岸信夫防衛相主催の日米安全保障協議委員会(日米2プラス2)に、ハワイの米インド太平洋軍司令部に立ち寄って来日するロイド・オースティン国防長官と共に出席する。 17日にソウルで開催される鄭義溶外相と徐旭国防相主催の米韓外務・防衛担当閣僚会議にも出席する。 その後、オースティン氏はブリンケン氏と別行動でインドの首都ニューデリーを訪問。ラージナート・シン国防相との会談などを通じて米印防衛パートナーシップ深化の確認が目的である。
ブリンケン、オースティン両長官の日韓訪問、そしてオースティン氏のインド訪問は極めて重要である。なぜならば、バイデン米政権が中国との対立姿勢を強める中で、インド太平洋地域の平和と安全の礎が日米同盟のさらなる強化に繋がることを改めて確認することになるからだ▶︎
▶︎12日に開かれた日米豪印4カ国(クアッド)首脳会談で、中国の「ワクチン外交」に対抗して途上国向けワクチンの供与と希少金属レアアースの連携確保で一致した。最近、ワシントンの外交筋の間で、クアッドが米印関係に亀裂が生じて「3プラス1」状態になっているとの指摘が囁かれている。そのリカバリーとして、フィリップ・デービッドソン米インド太平洋軍司令官(海軍大将)と調整した上でのオースティン氏訪印なのだ。
実は菅義偉首相の果たした役割があった。9日午後のナレンドラ・モディ印首相との電話会談である。米側が同首相を「トランプ印」と決めつける傾向があるため、その不満解消に一役買ったのだ。菅政権が今、この「自由で開かれたインド太平洋構想」に拘る理由を知る必要がある。
ブリンケン氏一行の訪日に先立つ3日、バイデン政権は外交、軍事、経済政策の基本方針となる「国家安全保障戦略」策定に向けた指針を発表した。ところが、そこには「自由で開かれた太平洋」という言葉が全くなかったのだ。「日米同盟」に向かって上がったのに梯子を外されるのでは困る。