4月22~23日(米国東部時間)、ジョー・バイデン米大統領主催の気候変動サミットがオンライン形式で開催された。 菅義偉首相を始め、習近平・中国国家主席、ウラジーミル・プーチン露大統領、アンゲラ・メルケル独首相、エマニュエル・マクロン仏大統領、ナレンドラ・モディ印首相など世界40カ国・地域の首脳が参加した。 先立つ16日の菅・バイデン会談後に発表された日米共同声明に次のように書き込まれていた。
「①パリ協定の実施と2030年目標/国が決定する貢献(NDC)の達成、②クリーンエネルギー技術の開発、普及及びイノベーション、③各国、特にインド太平洋におけるその他の国における脱炭素化を支援する取組などを三本柱として、日米気候パートナーシップを立ち上げた」――。
要は、今後予定される主要7カ国(G7)英コーンウォール・サミット(6月11~13日)、主要20カ国・地域(G20)伊ヴェネチア気候変動サミット(7月11日)、G20伊ローマ首脳会議(10月30~31日)、第26回国連気候変動枠組条約締約国(COP26)英グラスゴー会議(11月1~12日)に向けて、日米で世界の脱炭素化をリードしていく決意表明であった。▶︎
▶︎ 事実、バイデン氏は気候変動サミットで、温室効果ガス排出量の米国の削減目標「30年までに05年比50~52%削減」、そして菅氏も日本は「13年比46%削減」すると表明した。だが気候変動と金融という観点からすると、菅氏が昨年10月に打ち出した「2050年カーボンニュートラル」社会の実現には気候変動の金融安定リスクに備えるための投資の促進が必要である。 国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、40年までに世界で最大約70兆㌦(約8000兆円)の投資が必要とされる。
化石燃料エネルギー依存から再生可能エネルギーへの転換、クリーンエネルギー技術の開発などと口で言うのは容易いが、平たく言えば脱炭素に向けた「グリーン成長戦略」には巨額なカネが必要となるのだ。
気候変動分野における各国財務省間の情報交換・連携を目的にした財務相連合が示した「ヘルシンキ原則」に「気候変動対策への民間資金の動員」という項目がある。 それが、金融庁が国内の金融機関に求める気候変動への対応を促す「ガイドライン」策定に繋がった。例えばグリーン債発行の指針策定だ。今や銀行・損保業界も脱炭素に前向きな企業に融資を優先する時代となった。