No.637 8月25日号 それでも「菅首相続投」へ

8月22日実施の横浜市長選で,盟友の小此木八郎前国家公安委員長・国土強靭化担当相が立憲民主党推薦の山中竹春前横浜市立大医学部教授に惨敗したことはもちろん,菅義偉首相にとって多大なダメージとなった。取り分け,計り知れない痛手となったことは以下の結果(数字)からも容易に想像できる。
①山中の獲得総数が506392票(得票率33.59%)に対し小此木が325947票(同21.62%)であり,18万445票の大差となった。
②菅の地元選挙区・衆院神奈川2区(横浜市西区,南区,港南区)で山中は西区13103票,南区23765票,港南区31246票と小此木の9362票,18275票,21016票に完勝した。その差は19461票に及び,各区其々で30%超を得票,10P強の差が付いた。
③小此木の獲得総数325947票と現職・林文子の獲得総数196926票を合わせた522873票は山中の506392票を2万票弱上回った。即ち,自民支持層・保守分裂選挙の影響が如実に表れている。
④共同通信社の出口調査によると,「支持政党はない」と答えた有権者のうち39.5%が山中に投票,小此木11.1%,林9.6%であり,無党派層の4割が山中に流れた。18の行政区別で見ると,小此木の地元・鶴見区を除く全ての区で山中が最多得票を獲得した――。▶︎

▶︎この結果から導き出されることは,(a)立民推薦候補の山中を2019年参院選比例代表で約14万票を獲得した共産党が全面支援した効果があったことを示しており,次の衆院選を前に立民,共産両党の候補者調整が加速する。
 (b)カジノを含む統合型リゾート(IR)誘致を掲げた林が大差の3位に沈んだ上に,23日の山中記者会見での発言「早い段階で誘致申請を行わないという宣言をし,必要な手続きを進める」からも「IR誘致事実上頓挫」(『読売新聞』)した。
 (c)日本第2の都市横浜の有権者は1票を投じるに当たり「IR」ではなく「コロナ(ワクチン)」が胸中にあったことに加えて,首都圏で神奈川県が突出して新規感染者が急増していることを政府(菅首相)のコロナ対応の失敗と受け止めた。(d)9月30日に任期切れとなる自民党総裁選は衆院解散・総選挙前に「フルスペック」方式で実施すべきとの「正論」が党内で多数派となり,9月17日告示・同29日実施が確定的となった――等を招来させた。
 ただ,IR横浜誘致に関して付言すれば,菅は,実は反対を掲げて出馬した小此木支持を打ち出す以前に横浜招致を断念,東京都の小池百合子知事との間で18年11月に豊洲に移転した築地市場跡地を候補地とすることで密かに合意しているというのだ…(以下は本誌掲載)申込はこちら