11月8~11日、北京市内長安街の天安門近くにある北京飯店で中国共産党の第19期中央委員会第6回全体会議(6中全会)が開催された。来年秋に開かれる第20回共産党大会に向けて習近平・総書記(国家主席・68歳)は自らの権威と指導的地位をさらに固め、今後の政権移行の基調を打ち出した。結党から100年間で3回目となる「歴史決議」が採択された。これによって習総書記の権威を建国の父・毛沢東や改革・開放を推進した鄧小平と同列まで高めたのである。
1945年の第1回決議は、毛沢東が「国共内戦」の1年前に異論を唱える古参幹部や政敵を排除し、共産党最高司令官としての地位を確立するための舞台を整えた。鄧小平の下で1981年に発表された第2回決議は「文化大革命」という混沌とした時代に終止符を打ち、その後の30年間における経済改革・解放に向けたイデオロギー的基盤が固められることとなった。すなわち、中共100年の歴史(1921~2021年)の中で、自らを毛沢東、鄧小平と並び称される絶対的な権威としたのだ。▶︎
▶︎一方、6中全会での焦点は党幹部人事であった。これまでに中国の23省、5自治区、4直轄市のうち3分の2にあたる22省以上がすでに地方の指導者交代を終えている。事例を挙げると、習氏の政治的基盤である浙江省にちなんで名づけられた「浙江新軍」が省と直轄市での人事で際立つ。共産党政治局員の李強・上海市党委書記(62)と陳敏爾重慶市党委書記(61)、中央委員の応勇・胡北省党委書記(63)は浙江省勤務時代の習氏に仕えている。そして福建省長だった習氏は、同省でキャリアを積んだ鄭柵潔・安徽省党委書記(60)、王寧・雲南省党委書記(60)の2人を来年の党大会で中央委員に抜擢する。
また、宇宙・航空専門家でもある張慶偉・胡南省党委書記(60)は政治局員昇格が確実視される。「習派」と称される側近グループは、習氏が青年時代に過ごした陝西省勤務経験がある李希・広東省党委書記(65)を含む李強、陳敏爾、応勇、鄭柵潔、王寧、張慶偉氏らはすべて習氏とネポティズム(縁故主義)の関係にある。こうしたことから、来年秋の党大会で李強、陳敏爾両氏は中国共産党の最高意思決定機関である7人の政治局常務委員会(「チャイナ・セブン」)の席を得ると見られる。 そして習氏は3期目続投の地固めを行う。