No.648 2月25日号 際立つ「岸田vs菅」の対立構図 

ここに来て岸田文雄内閣の支持率がジワジワと下落している。メディア各社の世論調査は以下の通り。
時事通信調査(2月11~14日実施):支持率前回比8.3ポイント減の43.4%,不支持率6.6P増の25.3%,NHK調査(11~13日):支持率同3P減の54%,不支持率同7P増の27%,共同通信調査(19~20日):支持率同0.7P増の56.6%,不支持率同2.2P増の27.4%,『読売新聞』調査(4~6日):支持率同8P減の58%,不支持率同6P増の28%,『毎日新聞』調査(19日):支持率同7P減の45%,不支持率同10P増の46%,『産経新聞』・FNN合同調査(19~20日):支持率同4.3P減の62.6%,不支持率同3.2P増の30.0%,『朝日新聞』調査(19~20日):支持率同4P減の45%、不支持率同9P増の30%――(因みに『日本経済新聞』調査は月末に実施される)。
内閣支持率はメディア7社の加重平均で52%,不支持率が30.5%である。内閣支持率に関して最も高い産経・FNNが62.6%,最も低い時事は43.4%であり,両調査に19P強も開きがある。各政党支持率を見ても,時事調査は自民党支持率が最も低い26.0%で,高いNHK調査が41.5%,産経・FNN調査も40.7%であり,これもまた差が大きい。永田町では政権の安定度を示す方程式として「青木の法則」(内閣支持率と与党第1党の政党支持率の和が50ポイントを下回ると政権が倒れる,または政権運営が厳しくなるという経験則=青木幹雄元官房長官が提唱した)がある。これに従えば,低めの数字が出る時事調査結果に当てはめると,43.4%+26.0%=69.4%であり50Pをクリアするが,余裕綽々とは言い難い。岸田首相は安閑としていられない状況にあるのだ。▶︎

▶︎そうした中で,21日の衆院予算委員会で野党の国民民主党(玉木雄一郎代表)が2022年度政府予算案に賛成したことは想定外であり,永田町・霞が関に大きな驚きを与えた。政府・与党のごく一部は事前に承知していたが,首相官邸側が密かに国民民主サイドに働きかけていたことが奏功したのだ。
水面下での動きかけを検証すると,キーとなる動向は「首相動静」から窺える。岸田は最側近の木原誠二官房副長官と2月18,20両日に3回会っている。18日は午前5時59分~6時53分(公邸)と同7時~8時12分(官邸),日曜の20日が午後1時26分~同5時19分(公邸)。20日の3時間53分は異常と言えるほど長い。当事者から裏取りが出来ないので推測になるが,岸田の意を受けた木原が玉木に直接政府予算案賛成を働き掛けたのはほぼ間違いない。木原と玉木は東大法学部同窓→旧大蔵省1993年同期入省であり,21日の衆院予算委で玉木と共に質疑に立った古川元久国対委員長も88年入省である。因みに,自民党の麻生太郎副総裁と側近の森英介元法相は古川と良好な関係にある。森は長きに渡って自民党労政局長を務め,連合傘下の産別組合に太いパイプがある。
つまり,こういう事である。木原の工作によって20日に玉木と古川を公邸に招き,岸田が政府予算案賛成に回るよう口説いたというものだ。7月の参院選を前に「自民・公明連携」に隙間風が吹き始めたとの指摘がある現在,岸田官邸に「自民・国民連携」のカードを手にしたいとの思惑が芽生えたということではないか…(以下は本誌掲載)申込はこちら