3月14日付 「中国は『ロシア支援』にかじを切るー外相に『親ロシア派』就任予定」

3月11日、中国の全国人民代表大会が閉会した。王毅・国務委員兼外相は開会初日の7日に記者会見を開き、ウクライナ情勢に言及した。「中国は、必要な時に国際社会と共に必要な仲裁をする用意がある」――。 
だが、記者団から2日の国連総会で採択された「ロシアのウクライナ侵攻非難」決議に棄権したことを問われると、「当事者の安全に関する合理的な懸念に配慮しなければならない」と答えただけで、対露非難を一切口にしなかった。“中国仲裁”に期待する向きもあったが、端からあり得ないことだったのか。答えはノーである。なぜか。平たく言えば、ウクライナ危機は中国にとってチャンスでもあった。バイデン米政権にとって、プーチン露政権が中国の習近平政権に代わる優先順位第一位の「挑戦」となる可能性があったからだ。 
ウラジーミル・プーチン大統領は2月4日の北京冬季五輪開会式に出席。しかし、習近平・プーチン会談後に発表された中露共同宣言には「ウクライナ」の文字はなく、ロシアのウクライナ侵攻を支持したくない中国の本音が滲み出ていた。習氏は、実はプーチン氏との首脳会談で全面的な軍事進攻を示唆すらされなかったというのだ。▶︎ 

▶︎すなわち、プーチン氏と一蓮托生にされることは中国にとってとてつもない地政学的リスクになりかねないと理解したのである。それを決定づけたのは、露国防省が同27日に核戦力部隊を大統領命令で「戦闘態勢」に置いたと発表したことだ。 
こうして習近平指導部は、ロシアがウクライナという「国家の主権」を否定する一方で、ウクライナを「主権国家」として見なすようになった。だが、中国は依然として綱渡りを強いられている。準同盟関係にあるロシアの軍事侵攻に反対する、それともロシアの安全保障上の懸念に対して支援の手を差し伸べる、のいずれなのか。「プーチンの戦争」の究極目標が、首都キエフの完全制圧によってゼレンスキー政権を転覆させた上で、少なくとも併合したクリミア半島と、東部のドネツク、ルガンスク両州の独立であることは明らかである。
これが習近平氏の泣き所である。新彊ウイグル、チベット自治区独立問題がブーメランとなって再燃することになるからだ。王毅氏は全人代終了後に退任し、「親露派」の楽玉成外務次官が就任するという。中国はやはりロシア支援に舵を切るだろう。