参院選のまさに3カ月前の4月10日、京都府議補欠選挙(京都市北区、改選数1)が実施された。マイクロ選挙じゃないか、と言うなかれ。6月22日公示・7月10日投開票の参院選を占うだけではなく、今後の政局を見据えるためにも極めて重要な地方選挙だった。
自民、立憲民主、日本維新の会、共産党の各党公認候補が戦った。予想を違えて維新候補が当選したのだが、順位は維新→自民→共産→立民という結果となった。辛勝とはいえ維新が1万1161票獲得して自民を破ったことに驚いたが、それよりも唯一人の女性候補であり、かつ元職の立民が共産にも負けて6305票で最下位となったのには仰天した。まず、京都が立民の泉健太代表のお膝元(衆院京都3区)であることを忘れてはならない。次は、参院選京都選挙区(改選数2)に出馬する福山哲郎前幹事長である。同氏は長年、自民党の二之湯智・国家公安委員長と議席を分かち合ってきた。
だが、二之湯氏は任期満了で引退する。後継候補の吉井章京都市議が二之湯票を継承するため当選は揺るがないとされる。そこへ維新は、大阪ガスESG推進室長の楠井祐子氏を担ぎ出したのだ。以って福山氏は厳しい選挙戦を余儀なくされる。▶︎
▶︎注目の東京選挙区(改選数6)に目を転じる。筆者が信を置く選挙アナリストの三木昌平氏の見立てを紹介する。当確:齊藤蓮舫(立民現職)、竹谷とし子(公明現職)、有力:荒木千陽(都民ファーストの会新人)、生稲晃子(自民新人)、当落線上:朝日健太郎(自民現職)、山添拓(共産現職)、海老沢由紀(維新新人)の各氏――。
三木氏によると、40~50歳代に圧倒的な知名度がある元「おニャン子クラブ」メンバーの生稲氏が自民票を獲り過ぎると朝日氏が危ないという。と同時に、東京都議を2期務めた都民ファ代表の荒木氏には、小池百合子都知事という強力な後ろ盾がいるので台風の目となると指摘する。
いずれにしても、参院選最大の焦点は32の1人区の行方である。自民が取りこぼししそうなのは青森、岩手、新潟、三重、沖縄などで、23勝9敗との見方が支配的だ。ただ、複数区は北海道、千葉、神奈川で2人当選の可能性があり、トータルで現有57議席超えも視野に入る。となると、自民、公明両党で過半数は確実であり、岸田文雄首相は大胆な外交・安保政策を打ち出すことができる。「台湾有事」を念頭に「防衛計画の大綱」決定版に期待したい。