5月10日付 萩生田経産相が訪米で実績、バイデン政権内で高まる評価 商務長官、エネルギー長官らと会談で

 国際秩序の根幹を揺るがしたロシアのウクライナ軍事侵攻、そして遠くない将来に出来しかねない中国による台湾の武力統一――。
 こうした中で、経済安全保障政策が日本の喫緊の課題であるとの認識が、遅まきながらも共有されるようになった。この間、岸田文雄政権が傾注してきた経済安全保障推進法案は5月10日の参院内閣委員会で可決、翌日の参院本会議採決で賛成が3分の2以上を得て成立する。自律性(安定供給)と不可欠性(優位性)を2本柱とする経済安全保障政策は、後者の「機微技術管理」と「重要技術の強化」が重要である。契機となったのは、中国の軍民融合や新興技術の際立つ進展を受け、その流出パターンが多様化、頻繁化したことであった。昨年6月に米議会上院で「米国イノベーション・競争法案2021」が成立し、輸出管理・投資・政府調達規制、エマージング技術・基盤技術管理への対応、機微技術開発支援が加速化した。
  安全保障上の懸念となるエマージング技術は、①人工知能(AI)学習(兵器への適用、偽画像による社会混乱)、②バイオテクノロジー(毒性・伝染性を増強した生物兵器の開発)、③量子コンピューター(暗号の解読、量子暗号による通信の秘匿)、④極超音速(地対地ミサイル、空対地ミサイルへの適用、高速移動可能な軍用偵察機)などである。▶︎

▶︎こうして岸田政権は「経済安全保障の確保と集中投資」を打ち出し、先端半導体や電池の技術開発・製造立地とレアアースなど重要技術・物資サプライチェーン強靭化を推進しているのだ。この大型連休中に、多くの閣僚や政治家が米ワシントンを訪れた。岸信夫防衛相が4日にオースティン国防長官と会談、「核や通常兵器を含むあらゆる軍事能力による拡大抑止への決意を再確認する」との言質を引き出した。これは日米防衛相会談の成果である。
 だが筆者は、萩生田光一経産相訪米が果たした意義を高く評価する。萩生田氏はレモンド商務長官、タイ米通商代表部(USTR)代表、グランホルム・エネルギー長官らと会談した。それだけではない。米IBMの最新半導体研究所を訪れて、回路線幅2㌨(㌨は10億分の1)㍍より進んだ最先端分野での協力を取り付けてレモンド氏と会談したのだ。グランホルム氏とは、エネルギー安全保障に関する日米8分野で連携・協力することで合意した。バイデン米政権内で同氏に対する評価が高まったことは間違いない。