同午後1時30分から迎賓館で行われる日米外務・経済担当閣僚協議(2+2=林芳正外相、萩生田光一経産相、ブリンケン国務長官、レモンド商務長官)の閣僚記者会見に岸田首相と共に参加し、同4時15分に同大統領が提唱した「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」設立に関する記者会見を東京・六本木の泉ガーデンギャラリーで行う。
5月22日午後4時55分、ジョー・バイデン米大統領を乗せたエアフォース・ワン(大統領専用機)は東京都下の横田米空軍基地に到着する。バイデン大統領に同行するのは、アントニー・ブリンケン国務長官、ジーナ・レモンド商務長官、キャサリン・タイ米通商代表部(USTR)代表、ジェン・オマリー・ディロン大統領次席補佐官、ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)、カリーヌ・ジャンピエール大統領報道官らである。バイデン大統領は23日午前10時に皇居を訪れて、天皇陛下を表敬する。
その後、同午前11時から東京・赤坂の迎賓館で岸田文雄首相とのテタテ会談(通訳のみ同席)、少人数会合を行う。同夜は、午後7時から岸田首相が主催する歓迎夕食会(東京・白金台の八芳園)に出席する。同所の有名な日本庭園を愛でながらの夕食会にディロン大統領次席補佐官、レモンド商務長官らも同席。翌24日は、午前10時20分から首相官邸で開かれる日・米・豪・印4カ国の枠組みのQuad(クアッド)首脳会合に出席する。時間場所等などの詳細は未定だが、バイデン大統領は同日夕までにオーストラリアのスコット・モリソン首相、インドのナレンドラ・モディ首相と夫々の首脳会談も行う。
さらに同日夕5時30分に東京・赤坂の在日米大使館を訪れてラーム・エマニュエル駐日米大使と夕食を交えた協議を経て、同午後7時40分に横田空軍基地を発ち、米アラスカ州エルメンドルフ空軍基地経由(給油)、午後8時05分(米東部時間)に首都ワシントン郊外のアンドリューズ空軍基地に到着する。付言すれば、バイデン大統領のスケジュールは非公開である。▶︎
▶︎それはともかく、5月22~24日のバイデン氏訪日の意味を考えてみたい。何と言っても先ず挙げるべきは、岸田氏にとってバイデン氏との対面且つ長時間の日米首脳会談は初めてであることだ。同氏はこれまでに、首相就任翌日の2021年10月5日の首脳電話会談、同11月2日の首脳懇談(英国グラスゴーで開催されたCOP26の機会)、22年1月21日の首脳テレビ会談、同3月24日の首脳協議(ベルギーの首都ブリュッセルで開かれた主要7カ国=G7首脳会合の機会)で話し合っている。
だが、今回はロシアによるウクライナ侵略を受けての日米間の緊密な関係の確認を前提として、インド太平洋地域を含む国際社会の連帯の一層の強化のため、米国とのさらなる連携強化での一致という点が従来と大きく異なる。加えて、4回目となるクアッド首脳会合は岸田氏がホストとなる(これまでは21年9月にワシントンで開催された対面首脳会合以外に2回オンライン形式首脳会合)。18日に行われた日中外相テレビ会談で王毅外相兼国務委員が林外相にこう言った。「日本側は間もなく日米豪印の4カ国首脳会合を主催する予定である。注目し警戒すべきは、米国の指導者はまだ訪日していないのに、いわゆる日米が合同で中国に対抗する論調が既に勢いを振るっており、混乱・正しくない気風を引き起こしていることである」。
これが、全てを物語っている。まさにクアッドは対中を念頭に、中国による海洋進出を含む東シナ海や南シナ海における一方的な現状変更の試みをインド太平洋で許さないという決意を世界に示すものとして発足したからだ。 中国は自覚している。国際社会の秩序を根底から変えた「プーチンの戦争」がロシアに科した莫大な「ツケ」(巨額な国家負債)となったことを。翻って、中国の習近平指導部が目指す「台湾統一」もまた、国際社会から力による現状変更の試みとして指弾されかねないと承知しているはずだ。
だからこそ、この時期のバイデン大統領訪日・訪韓と、クアッド首脳会合開催に過剰反発しているのだ。新たな経済圏構想・IPEFは日米を始め、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、シンガポール、マレーシアが参加の意向を表明している(インドは未定)。習近平氏が金看板とする「一帯一路」構想(海洋版)を東南アジア諸国連合(ASEAN)の庭先である南シナ海→マラッカ海峡→インド洋ラインで切り崩そうというものなのだ。中国が神経過敏になるのは当然と言えよう。