No.655 6月10日号 岸田首相は「我が世とぞ思ふ」のか

少々前の事である。5月15日に開かれた「沖縄復帰50周年記念式典」は沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターと東京・高輪のグランドプリンスホテル新高輪で同時開催された。
沖縄会場には岸田文雄首相,玉城デニー県知事,市町村長ら約780人,東京会場には衆参両院議長,閣僚,駐日米大使ら約520人が参席した。天皇・皇后両陛下は皇居・御所からオンラインで出席され,天皇がお言葉を寄せられた。岸田首相,玉城知事は式辞を述べ,ジョー・バイデン米大統領のビデオメッセージも披瀝された。
だが新聞などメディア各社はラーム・エマニュエル駐日米大使の式典出席を報道したが,なぜか,同大使の「所感」を報道しなかった。「Our shared values and principles cannot protect themselves; we have to protect them. Freedom is not free. Every generation pays its price to preserve and strengthen the foundation of freedom. ……I am proud of how the United States and Japan are standing strong for our principles and values.(私たちの共有する価値観と原則は自分自身を守ることはできません。それらを保護する必要があります。自由は無料ではありません。
すべての世代は,自由の基盤を維持し強化するためにその代償を払っています。……私は,米国と日本が私たちの原則と価値観に対していかに強く団結しているかを誇りに思っています)」。▶︎

▶︎このタイミングでのエマニュエル発言(在日米国大使館ホームページはAmbassador Emanuel’s Remarksと紹介しており「所感」が適訳と判断したが,内容からすると「発言」が適切)は,報道するに値するものだった。
本誌はこの「所感」について,実は某主要省最高幹部の指摘を受けて米大使館ホームページにアクセスし初めて全文に接した。そして改めてその含意を理解した。
22日夕に東京都下の横田米軍基地に降り立ったバイデンを出迎えたエマニュエルがハグしたのをテレビ映像で観て仰天した。米大統領を出迎える出先国の大使がハグするなど前代未聞の事だった。バラク・オバマ大統領時代の首席大統領補佐官だったエマニュエルが副大統領当時のバイデンと今なお緊密な関係を持つ証でもある。そのエマニュエルが,大統領式辞に現在の国際情勢と沖縄を結び付ける内容を盛り込むことはプロトコル上,相応しくないと大使所感で言及したとみるべきではないか。
即ち,ロシアによるウクライナ侵略は論外であるが,中国を念頭に「台湾有事」を想定して沖縄復帰記念行事での所感で同じ原則と価値観を共有する日本に対し,改めて「Free ride(ただ乗り)」にダメ出ししたのだろう。
要は,防衛費の国内総生産(GDP)比2%超(代償)だけではなく,身をもって覚悟(価値観と原則の共有を態度で示)しなさいよ,ということだ。こうした重要なメッセージを含んだ「発言」を無視した(気付かなかった)大手メディアに対し怒りを覚えた件の最高幹部は本誌に示唆したに違いない。…(以下は本誌掲載)申込はこちら

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