No.656 6月25日号 参院選の焦点は「70」と「82」 

6月22日,第26回参院選(7月10日投開票)が公示された。前日午後,東京・内幸町の日本記者クラブで与野党9党首による討論会が開かれた。本誌も日本プレスセンター10階の会場に足を運び,党首の舌戦に耳を傾けた。
より正確に言えば,自民党の岸田文雄総裁(首相),立憲民主党の泉健太代表,共産党の志位和夫委員長3人の話しぶりと表情の変化に関心を特化したのだ。冒頭,各党首はクラブ企画委員の司会に促されて参院選で訴えたい内容を“一筆啓上”としてボードに書き,正面に向けて披瀝したのである(NHK中継のため)。そして各党首は各々のキャッチフレーズの説明を求められた。
因みに,れいわ新選組の山本太郎代表,社会民主党の福島瑞穂党首,NHK党の立花孝志党首の3人はボードに書いたフレーズに!印を付けたのに「らしさ」を感じたのは本誌だけではないだろう。岸田は「日本を守り未来を創る」と記した。岸田の冒頭発言では手元に置いた「メモ」に目を向けるのが気になったが,その後,第1部の党首間質疑では一転してほぼメモ無しで答える。
当然,政権党総裁なので質問されるテーマは経済から安全保障まで多岐に及んだが,常に質問党首を直視しながらそつない回答を繰り返した。まあまあ良くやったとの印象を与えたのではないか。「物価対策として年金追加給付,小麦価格引き下げ,消費税引き下げ」とした泉は声高に現下の物価高対策批判に終始し,明らかに争点を物価高対策に絞り込んだことが窺える。▶︎

▶︎泉が際立ったのは,他の党首間質疑中,続く第2部の日本記者クラブ質疑が他党首向けでも真摯に傾注する姿だ。多くの党首は自分と関係ない場合,殆どが手元にあるメモや資料を読み,質疑に備えていた。「戦争させない 暮らしに希望を」と書いた志位は党首で唯ひとり消費税を5%に減税と数字を入れた。持論の戦争を起こさないために憲法9条死守を強く訴えるが,昨秋総選挙,19年参院選時のアピールとほぼ同じである。
加えて,発言中に志位も手にしたメモに目を遣ることが少なくなかった。翌日23日の新聞各紙朝刊には,参院選の焦点となる数字(与党の勝敗ライン)が紹介されている。『読売新聞』:「56」(自民,公明両党の非改選議席69に加え,今回争う125議席のうち計56議席獲得すれば過半数をクリアできる),「63」(自公の改選議席のうち計63議席獲得すれば過半数に届く),「82」(憲法改正に前向きな勢力で参院総定数248議席3分の2=166議席が改憲発議で必要であり,非改選84と改選82で届く)。『朝日新聞』:「56」(自公で非改選の計69議席と合わせて過半数の125議席に達する),「63」(自公で改選125議席の半数を上回る),「70」(自民が非改選雄55議席と合わせて単独で過半数の125議席に達する)。両紙が挙げた数字で異なったのは「82」と「70」であり,参院で改憲勢力が過半数を維持するのか,自民が単独過半数を制するのかのいずれに重きを置くという立ち位置の違いがある。というよりも,参院選後政局の見立ての違いによるものだ…(以下は本誌掲載)申込はこちら

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