7月12日付「存在感、急速に高まるエマニュエル米大使ー着任前に日米首脳会談お膳立て」

 ラーム・エマニュエル駐日米大使(62歳)の存在感が、急速に高まっている。岸田文雄首相は昨年10月4日午後の衆院本会議で第100代首相に指名された。翌日午前、ジョー・バイデン米大統領が岸田首相に電話で祝意を伝えてきた。この20分間の電話会談を機に両首脳の良好な関係がスタートした。二回目の岸田・バイデン電話会談は1月21日夜で、80分に及んだ。
 しかし、初めての電話会談から92日も経ってのことだった。実は、政府は両首脳の本格会談を米側に要請していたが、内政重視のロン・クレイン大統領首席補佐官が難色を示し、実現しなかった。そこで動いたのが、駐日大使着任前のエマニュエル氏である。同氏は1月4日(現地時間)、ホワイトハウスでバイデン氏と会い、早期の日米首脳会談を進言、件の電話会談が日の目をみたのだ。第31代駐日米国大使のキャリアは以下の通り。政策・政治担当大統領上級顧問(1993~98年のクリントン政権)、連邦下院議員(イリノイ州第5選挙区選出。2003~09年)、大統領首席補佐官(09~10年のオバマ政権)、シカゴ市長(11~19年)。
 特筆すべきは、その華麗な人脈である。「今、ワシントンで彼の電話に出ない人は誰ひとりいない」と言われているほど、上下院議員から大統領を含め政権中枢に巡らせたネットワークは驚くものだという。▶︎ 

▶︎日本絡みで一例を挙げる。スペインの首都マドリードで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会合に出席した岸田氏は6月29日午前(現地時間)、滞在先のホテルで米上院議員一行(7人)の表敬を受けた。
 その一人がバイデン氏の右腕であるクリス・クーンズ氏(デラウェア州選出)であるが、スペインに向けて発つ直前にエマニュエル氏から携帯メールで“注意事項”を送ってもらっていたというのだ。日本着任後のエマニュエル氏は、首相最側近として知られる木原誠二官房副長官と頻繁に会い、岸田政権の外交・安保政策を担う秋葉剛男国家安全保障局長とは緊密な関係を築くなど、過去に類例のない駐日大使である。それだけではない。10日の参院選前には各選挙区の個別候補を特定して情報収集を自ら参事官に指示していたと聞いた。
 かくも“仕事熱心”な大使を味方につけ安心だが、一度敵に回したら大変なことになる。当然、岸田氏周辺は分かっているから、エマニュエル氏を大切にしているのだ。 

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