7月25日付「安倍元首相の『国葬』にビックスリーは参席するのかー『弔問外交』の格好場に」

 安倍晋三元首相の国葬儀は、9月27日に東京・北の丸公園の日本武道館で開催される。岸田文雄首相は参院選翌日7月11日の閣議で、故・安倍氏に従一位、大勲位菊花章頸飾並びに菊花大綬章授与を決定した。
 と同時に岸田氏は胸中、安倍氏の葬儀を「国民葬」でも「内閣・自民党合同葬」でもなく「国葬」で実施すると決めていた。実は首相秘書官にその法的根拠を検証するよう指示していたのだ。それが平成11年7月公布・13年1月施行の内閣府設置法第4条3項33号「国の儀式」であった。「国葬」と「国葬儀」は厳密に言えば異なる。戦前の国葬は国葬令(昭和22年12月31日に失効)に基づき実施され、国民全体が喪に服す。だが閣議決定に基づき行われる戦後の国葬儀は、哀悼の意を表するように協力を要望されるだけだ。
 ちなみに故・吉田茂元首相の国葬儀(昭和42年10月31日)では①各省庁は弔旗を掲揚②同様に葬儀中の一定時刻に黙禱③公の行事・儀式その他歌舞音曲を伴う行事は差し控える④官公署、学校、会社等においても同様の方法により哀悼を表する―が通達された。さて、筆者の関心事は儀礼や費用の問題でなく、国葬儀が現下の国際情勢からして「弔問外交」の恰好の場となるであろうことである。▶︎

▶︎「安倍外交は、欧米だけではなく中国からも高く評価された」(益尾知佐子九州大学准教授)だけに欧米、アジア、中東、南米、アフリカ各国首脳が弔問に訪れることは間違いない。では、世界の「ビッグスリー」は参席するのか。
 すなわち、ジョー・バイデン米大統領、習近平中国国家主席、ウラジーミル・プーチン露大統領の3人である。「習、プーチン両首脳は90%以上の確率で来日しない。何が起こるか分からない厳しい国際情勢下で両氏はテロ・暗殺を警戒しています」(外務省高官)。バイデン氏はどうなのか。答えは否である。理由は異なる。与党・民主党の敗北が必至な11月8日の米中間選挙を控えたバイデン氏には訪日するだけの余裕がないのだ。 
 一方、岸田氏は8月1日にニューヨークで開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議で、日本の首相として初めて演説する。8月27~28日にチュニジアで開かれる第8回アフリカ開発会議(TICAD)で基調演説する。さらに安倍氏国葬儀の前週には国連総会での一般討論演説が控えている。その勢いを駆って国葬儀に臨むのである。