8月1日付「8月に問われる岸田首相の『外交力』ーサウジのムハンマド皇太子との会談も注目」

 7月29日(米国東部時間)、首都ワシントンの国務省で外務・経済担当閣僚による日米経済政策協議委員会(経済版2プラス2)が開かれた。日本側は林芳正外相と萩生田光一経済産業相、米側はブリンケン国務長官とレモンド商務長官が出席した。
 日米が合意したのは、①半導体など重要物資のサプライチェーン(供給網)強化②人工知能(AI)や量子など先端技術の保護と開発での連携③エネルギー関連の安定調達と食糧安全保障での協力④デジタル、インフラ投資で基準作り促進⑤経済分野の国際秩序の再構築―である。林、萩生田両氏はワシントン市内のウィラード・インターコンチネンタルに2泊し、合意文書を手にして31日に帰国。そして8月1日から5月に成立した経済安全保障推進法の一部を施行すると同時に、内閣府に新設された経済安全保障推進室が50人体制で始動する。
 一方、岸田文雄首相は31日にニューヨークに向けて発ち、8月1日(現地時間)に国連本部で開催される核不拡散条約(NPT)再検討会議で演説する。▶︎ 

▶︎日本の首相がNPT会議に出席・演説するのは初めてだ。「核兵器のない世界」が持論の岸田氏は「核戦力の透明化」をアピールする。
 来年5月に開催される主要7カ国(G7)首脳会合を唯一の原爆被爆国日本の、しかも地元・広島で開催することが念頭にある。首相は日系のザ・キタノホテルに1泊し、2日に帰国する。3日召集の臨時会の参院本会議で議席の指定などがあるため、前日中に帰国する必要があるからだ。「外交の岸田」は8月も多忙である。第8回アフリカ開発会議(TICAD)が8月27~28日にチュニジアの首都チュニスで開かれる。同会議で基調演説を行う。2016年にケニアで開催された第6回TICADで当時の安倍首相が世界に先駆けて「自由で開かれたインド太平洋」構想を発表したという因縁がある。
 では、岸田氏は何を語るのか。そして首相周りは今、チュニジア訪問の帰途中東諸国訪問を調整している。サウジアラビアで同国最大の実力者のムハンマド皇太子と会談する。バイデン米大統領は7月15日にジッダで満面の笑みを浮かべて同皇太子とグータッチをしたことで米欧メディアから袋叩きに遭った。サウジ人記者殺害事件の「黒幕」を皇太子と断じているためだ。 果たして岸田氏は握手する覚悟があるのか。