10月9日付「ウクライナ侵攻、プーチン政権が倒れる以外に終わらないー英王立防衛安全保障研究所の気なる分析

 ロシアのプーチン大統領がウクライナ東・南部4州の一方的な併合を決定したのは9月30日だった。そしてウクライナのゼレンスキー大統領は10月4日夜の演説で、東部ドネツク州の要衝リマン奪還に続き、南部ヘルソン州のドニプロ川を巡る攻防戦で複数の集落をロシア軍から奪還したと発表した。プーチン氏は5日、上下院の4州の併合「条約」批准承認を受けて、ロシアへの「編入条約」文書に署名した。以って4州を「国土」と位置付ける。先立つ2日、気になったコメントを見つけた。
英王立防衛安全保障研究所(RUSI)研究員のE・アーノルド氏である。「プーチン大統領は最終的にウクライナを自国領にしたいという野心をもっている。国内経済と政治の混乱でプーチン政権が倒れる以外に、戦争を根本的に終わらせることは難しい」(日本経済新聞朝刊)。なぜ、いまRUSI研究員のコメントなのか。少々の説明が必要である。1831年に創設された世界最古のシンクタンク。
その本部は首都ロンドンの官庁街ウエストミンスター地区ホワイトホールにあり、ジョン・ル・カレのスパイ小説でお馴染みダウニング街10番地の首相官邸の斜向かいである。日本では通称「チャタムハウス」が知名度で断トツの英王立国際問題研究所(RIIA)のメディア引用が圧倒的に多い。▶︎ 

▶︎それはともかく、ロシア問題やウクライナを含む東欧問題では米欧のインテリジェンス機関も一目置く老舗のRUSIが格上の評価を得ている。
先ず指摘すべきは、同研究所国際部長のJ・アイル博士の存在である。アイル氏は昨年12月下旬、世界に数多いるロシア専門家に先駆けてプーチン大統領によるウクライナ軍事侵攻を予測していた。「RUSI Newsbrief」(会員制)に記事を書いている。東欧ルーマニア出身のアイル氏は英オックスフォード大学で博士号を取得後の90年にRUSI入りし、シニア・リサーチフェロー、会員制誌編集長を歴任。英・仏・独・伊語とハンガリー、ルーマニア語に堪能。米中央情報局(CIA)はもとより、対露経済・金融制裁を主導した米財務省の情報機関・金融犯罪捜査網(FinCEN)もまたアイル氏を始め、RUSIの研究員の助力を得ている。言いたいのは、ウクライナ戦争は「プーチン政権が倒れる以外に終わらない」とのコメントに信憑性があるということだ。