12月6日付 「復権」取り沙汰され…菅前首相の言動に注目 岸田首相の党内基盤の脆弱性を物語る麻生、茂木両氏との会談や会食

 筆者は岸田文雄首相の一日の行動を知るために、翌朝の産経新聞に掲載される「岸田日誌」を参考にする。ではこの2カ月の「日誌」から何が窺えるのか。まず注目したのは、岸田首相と自民党の麻生太郎副総裁、茂木敏充幹事長との面会、会食である。
 時系列で追ってみた。10月6日夜:茂木氏会食(東京・赤坂「もりかわ」)、11日午後:茂木氏会談(首相官邸)、12日昼:麻生、茂木両氏会食(ホテルニューオータニ「千羽鶴」)、29日夜:麻生氏会食(グランドプリンスホテル高輪「桂」)、31日午後:麻生、茂木両氏会談(自民党本部)。11月4日昼:麻生、茂木両氏会食(パレスホテル「琥珀宮」)、23日午後:茂木氏会談(首相公邸)、24日夜:麻生氏会食(The Okura Tokyo「山里」)、27日夕:茂木氏会談(首相公邸)。豪州訪問と東南アジア3カ国歴訪で10日間の日本不在を除く2か月間に、麻生氏と会食・2回、茂木氏とは会食1回・会談3回で、3者会食・会談は3回に及ぶ。▶︎ 

▶︎岸田氏はもちろん、遠藤利明総務会長、萩生田光一政調会長、世耕弘成参院幹事長とも差しの会食を行っている。
 それにしても、党内第2派閥・平成研領袖の茂木氏と第3派閥・志公会領袖の麻生氏との会談や会食が際立っている。それは取りも直さず、第4派閥・宏池会領袖である岸田氏の党内基盤の脆弱性を物語っている。換言すれば、現在の自民党内の権力構図は岸田氏を頂点に麻生、茂木両氏を二辺とする三角形であるということだ。くしくもドミノ辞任の閣僚は山際大志郎前経済再生相(麻生派)→葉梨康弘前法相(岸田派)→寺田稔前総務相(同)と続き、次の辞任が確実視される秋葉賢也復興相(茂木派)という皮肉な結果となっている。
 こうした不祥事が相次ぐ中で、メディアに「岸田官邸“統治不全”の戦慄」(『選択』11月号)、「求心力ゼロ岸田官邸“学級崩壊”の様相」(『FACTA』12月号)、「落日の岸田の陰に“菅・河野”」(『文藝春秋』12月号)といったタイトルが躍る。そして永田町では今、その菅義偉前首相の言動が注目されている。「菅氏の復権」が取り沙汰されているのだ。折も折、岸田氏は11月28日午後、20分足らずだが菅氏の国会事務所を訪れた。何を話したのか。