12月12日付 「十分あり得る『自公国連立政権』一支持率低迷にあえぐ岸田政権の浮揚策」

政治の世界では、あの会合で流れは決まったのか、と想起することが少なくない。第210回臨時国会は12月10日に閉会した。旧統一教会(世界平和統一家庭連合)を巡る被害者救済新法は、会期末直前に与野党が合意し、成立に至った。
 そして年末の安全保障関連3文書の改定を控えた7日、自民党の茂木敏充、公明党の石井啓一両幹事長は焦点の防衛費増額の財源について協議し、2023年度から5年間の防衛費総額を43兆円にすることを了承した。同時に歳出改革や決算剰余金・税外収入などの充当で不足する分は税制措置(増税)で対応することでも一致をみた。 冒頭の「あの会合」とは、2日夜の茂木氏と日本維新の会代表の馬場伸幸氏の夕食を交えた会談を指す。茂木氏が設営した東京・赤坂の割烹「もりかわ」には自民党の高木毅国対委員長と維新の藤田文武幹事長、遠藤敬国対委員長も同席した。 
 この会食実現には伏線があった。11月24日、維新前代表の松井一郎大阪市長が自民党本部に茂木氏を訪れている。松井氏が25年4月の大阪万博開催への全面協力を要請、一方の茂木氏は救済法案の会期内成立への協力を求めたのだ。▶︎ 

▶︎件の12月2日に話を戻す。時事通信は22年度第2次補正予算案成立後の午後6時55分、自民党が自公連立政権に国民民主党を加え、玉木雄一郎代表を入閣させる案を検討していると報じた。岸田文雄首相は同夜8時過ぎ、官邸で記者団に「私は全く知らないし、私自身考えていません」と否定した。
 他方、玉木氏は同深夜、赤坂議員宿舎でのブラ下がり会見で「大変驚いている。報道されたような事実はありません」と強く否定してみせた。 タイミングを合わせたかのような報道であった。世間はこのような出来事を「出来すぎ」と言う。だが永田町では、茂木氏と麻生太郎副総裁が常々選挙における自民党の公明党・創価学会依存体制からの脱却を唱えていたことを知らぬ者はいない。
 とりわけ、茂木氏は昨年10月総選挙後、今年7月参院選を見据えてそれ以前から水面下で“国民取り込み”に傾注していたこともまた周知の事実である。 岸田氏を頂点に麻生、茂木氏を両辺とするパワートライアングルは今、支持率低迷に喘ぐ岸田政権の浮揚策として「自公国連立政権」を視野に入れている。さらに維新の閣外協力実現まで検討しているはずだ。年初の内閣改造が見物である。