No.667 12月25日号 日米緊密化が不可欠な岸田文雄首相 

1カ月余前の事だ。岸田文雄首相が東南アジア諸国連合(ASEAN)+日中韓首脳会議(11月12~13日カンボジアの首都プノンペン),主要20カ国・地域(G20)首脳会合(15~16日インドネシアのバリ島),アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議(18~19日タイの首都バンコク)の出席を終えて帰国したのは11月19日午後11時19分だった。それまでに国会では旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党国会議員との「接点」が取り上げられていた。
 その中でも具体的な親密関係を野党から追及された山際大志郎経済再生相(麻生派)の大臣答弁とその訂正の繰り返しが国民世論の岸田政権に対する不信感を強めた。さらに山際更迭から日を置かずして葉梨康弘法相(岸田派)の「法務大臣は死刑のハンコを押したときだけニュースになる地味な役職だ」発言が首相外遊直前の同9日夜に飛び出した。葉梨は翌日午前の参院法務委員会で撤回・謝罪したが辞任は否定した。山際に続くドミノ辞任を懸念した岸田も自民党執行部に対し更迭しない意向を伝え,当初出発予定の11日午前の参院本会議で法相交代はないと言明した。
 ところが出発を12日午前1時過ぎに延期し,葉梨の辞任申し入れを認めて後任に齋藤健元農水相(無派閥)を充てること発表した。このドタバタ劇の最中に永田町では次のような戯れ歌が囁かれるようになったのだ。「秋の山寺枯葉散る 杉の根元の水飲めず」――。▶︎

▶︎解説する。政務三役(大臣,副大臣,大臣政務官)の5人の名前が詠み込まれているのだ。秋葉賢也復興相(茂木派),山際前経済再生相,寺田稔前総務相(岸田派),葉梨前法相,そして杉田水脈総務大臣政務官(安倍派)である。
 因みに杉田は「LGBT(同性愛者など性的少数者)は生産性がない」と言い放ったほか,木で鼻を括った答弁で永田町でも評判が芳しくない。この戯れ歌が取り沙汰され始めた時点では秋葉と杉田は現職である。岸田は繰り返し否定するが,早ければ年末,遅くとも首相の訪欧米出発の1月中旬までに内閣改造(大臣交代等)の可能性が高まった。秋葉と杉田は基より政治資金・公職選挙法関連の問題を抱える岡田直樹内閣府特命担当相(安倍派),井野俊郎防衛副大臣(茂木派)の名前が挙がる。
 そしてG7広島サミット警備を担当する谷公一国家公安委員長(二階派)の体調不良は深刻とされる。付言すると国民民主党との連立があるとすれば,玉木雄一郎代表ではなく古川元久国対委員長(元大蔵省出身)か大塚耕平代表代行(日銀出身)のいずれかが内閣府特命担当相(賃金・労働)で入閣するのではないか…(以下は本誌掲載)申込はこちら