No.670 2月25日号 「岸田首相キーウ訪問」に現実味!! 

岸田文雄首相にウクライナ訪問圧力が強まっている――。言うまでもなく,首都キーウを電撃訪問したジョー・バイデン米大統領が2月20日午前(現地時間),市内のマリインスキー大統領宮でウォロディミル・ゼレンスキー大統領と会談したことによる。
 19日午前4時15分(米東部時間),極秘裏にワシントン郊外のアンドルーズ空軍基地をC-32 空軍機で発ったバイデンに同行したのはジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当),ジェン・オマリーディロン大統領次席補佐官,アニー・トマシーニ大統領執務室長の側近,医療チーム,シークレットサービス(大統領警護隊)ら極少数で,米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー戦略広報調整官をヘッドとするロジ部隊は装甲仕様大統領専用車(通称「ビースト」),護衛車(重火器装備)2台などをポーランド東南部のジェシュフ・ジャシオンカ空港に事前搬送していた。大統領一行はその後,陸路でウクライナとの国境に位置するプシェミシル駅に移動,さらに同駅から8両編成の寝台列車で20日午前8時(現地時間)にキーウに到着した。往路の所要時間は約21時間だった。そしてイタリアのジョルジャ・メローニ首相も翌21日にキーウを訪問したのだ▶︎

▶︎これで主要7カ国首脳会議メンバーでは5月19~21日のG7広島サミットを前に議長の岸田首相だけがウクライナを訪れていない(ゼレンスキーと対面会談を行っていない)首脳になった。訪問圧力を感じていないはずがない。むしろ訪問に強い意欲を抱いているのだ。本誌編集長は18日アップのウェブマガジン『現代ビジネス』に「幻に終わった岸田首相ウクライナ訪問」計画の行程表(航路・陸路・鉄路ルート,所要時間などの詳細)を記述した。バイデンのポーランドからウクライナへの移動ルートは岸田のそれと全く同じであった。岸田訪問にはリアリティがあったが,『読売新聞』(1月22日朝刊)のスクープ「首相,キーウ訪問検討―ゼレンスキー氏会談へ…戦況見極め最終判断」によって電撃訪問を断念せざるを得なかった。
 そして岸田官邸は今,再検討の段階にある。そこで注目すべきは3月18日前後に来日するオラフ・ショルツ独首相だ。昨年4月に来日したショルツは同6月にエマニュエル・マクロン仏大統領,マリオ・ドラギ伊首相(当時)と共にやはり鉄路でポーランドからキーウ入りを果たしている。こうして官邸周辺では,昨年のG7エルマウ・サミット議長のショルツの協力を得てキーウを訪問する「サプライズ」が現実味を帯びて来ているのだ…(以下は本誌掲載)申込はこちら