3月28日付 岸田首相のキーウ電撃訪問と内閣支持率 日本外交史上、画期的な対面会談 「帰朝報告」で与野党議員から万雷の拍手

 岸田文雄首相のウクライナ訪問は日本の外交史上、世辞抜きに画期的な出来事と言える。この首都キーウ電撃訪問前、すでに内閣支持率は上昇基調にあった。そもそも永田町の常識によると、時の政権にとって外交は国政選挙で「票」の上積み要因にならない、支持率向上に影響しないというものだ。
 ところが、一連の岸田外交のトリガー(引き金)となった韓国の尹錫悦大統領(3月16~17日)とドイツのオラフ・ショルツ首相(17~19日)の日本訪問前後に実施されたメディア各社の世論調査から変化が見られるようになった。産経新聞・FNN(フジニュースネットワーク)合同調査(18~19日実施)では、岸田氏と訪日前に「元徴用工問題」解決案で政治決断した尹氏の会談を契機とした今後の日韓関係について「相当良くなる」と「ある程度良くなる」で計54.5%に達した。
 そして朝日新聞(同)は日韓首脳会談を「評価する」63%であり、読売新聞(17~19日)が65%である。3紙とも極めて高い数字だ。次は内閣支持率である。「産経」が前月比5.3ポイント増の45.9%、「朝日」も5P増の40%、「読売」は1P増の42%となった。3紙の支持率40%台は昨年の10月以来、5カ月ぶりのことだ。▶︎

▶︎岸田氏は16日の尹氏に続く18日のショルツ氏とテタテ(通訳のみ同席)の会談後、日独双方の6閣僚を交えた初の政府間協議を行った。さらに19日深夜、政府専用機でインドの首都ニューデリーに向けて発ち、20日午前(現地時間)にナレンドラ・モディ首相と会談した。同会談で昨年5月の東京での会談に続き「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現で改めて一致した。ダメ押しの合意である。
 すなわち、現下のウクライナにおける深刻な戦況の中で、岸田氏は中国を念頭に置き東アジア(韓国)、南部アジア(インド)、欧州(ドイツ)の各首脳とロシアによるウクライナ侵略非難で一致することに傾注したのだ。その総仕上げがウクライナを訪問し、21日午後(現地時間)に果たしたウォロディミル・ゼレンスキー大統領との対面会談だった。「ウクライナの美しい大地に平和が戻るまで日本はウクライナと共に歩んでいく」と語った岸田氏自らが「Boots on the Ground」を体現したのである。帰国した翌24日の衆院本会議で岸田氏は「帰朝報告」を行ったが、与野党議員の万雷の拍手で迎えられた。支持率のさらなる上昇は間違いない。