4月4日付 素人に分かりにくい「国家予算」の仕組み 増税問題にも関わるだけに…日経には解説記事を期待

3月28日午後3時過ぎ、参院本会議で平成5年度政府予算案が賛成多数で可決、成立した。一般会計総額は過去最大の114兆3812億円。なかでも注目の防衛費は同4年度当初予算と比べて26%増(6兆8219億円)となった。
 年初来、自民党内で防衛費増額の財源を巡り、白熱の論議が繰り返されてきた。その場となったのが、1月19日に党政務調査会に設置された「防衛関係費の財源検討に関する特命委員会」(委員長・萩生田光一政調会長)だ。予算成立4日前の24日、東京・永田町の党本部901号室で特命委員会が開かれた。財務省は「特別会計・独立行政法人について」を議題にした同委員会で3つの資料を配布し、質疑応答が行われた。筆者が興味深く読んだのは、そのうちの2つ「財政投融資特別会計について」(理財局作成)と「外国為替資金特別会計について」(国際局作成)である。
 そして「財投特会」には財政融資資金勘定と産業投資勘定がある。前者は政策的必要性が高く且つ償還確実性のある事業に資金提供(日本政策金融公庫、地方公共団体など)。後者は政策的必要性が高く且つリターンとリスクもある出資(JBIC=国際協力銀行、JOGMEC=エネルギー金属鉱物資源機構など)。▶︎ 

▶︎注視すべきは財投資料にある<令和5年度予算については積立金が1.1兆円である中で…臨時的に確保した0.2兆円を防衛財源に充当>と、<歳入についてNTT株式の売却に伴う臨時収入を計上し…臨時的に確保した剰余金0.4兆円を防衛財源に充当>の2カ所だ。財投勘定では5年度末の積立金残高が0.9兆円となり、財務の健全性からして<今後の一般会計への繰り入れが困難>と指摘する。一方の投資勘定では<歳入(NTTやJT・日本たばこ産業からの配当金等)と歳出(産業投資支出等)の差額として…一般会計へ繰り入れする>と記している。
 何が言いたいのか。日本経済新聞(28日付朝刊)の「防衛財源の一般会計繰り入れ、財投特会から追加困難」と題した記事である。<財投特会から約0.6兆円や為替介入に備える外為特会からの約3.1兆円などの繰り入れで……>とあるが、先の資料を読んでも、「約3.1兆円」が外為特会の積立金記述に見当たらない。ただ、1月作成の別資料「R5年度予算のポイント」に<上記以外の税外収入3.1兆円程度>との記述がある。増税問題にも関わるだけに、解説に定評がある同紙にはこうした国家予算の仕組みについては素人にも分かる記事を期待したい。