No.673 4月10日号 焦点は衆院解散・総選挙の時期 

岸田文雄首相が強く固執したウクライナ電撃訪問は実現し,想定以上の外交成果を挙げた。今や永田町の関心は4月9日と23日に実施される第20回統一地方選・衆参院5補欠選挙に転じた。焦点は衆参5補選である。参院大分選挙区補選(6日告示・23日投開票),衆院和歌山1区補選(11日告示・23日投開票),衆院千葉5区補選(同),衆院山口2区補選(同),衆院山口4区補選(同)の現状をチェックする。
 一言でいえば,自民党各派の勢力拡大を巡る争いである。取り分け,最大派閥の安倍派(清和会・96人)にとっては故・安倍晋三元首相の“弔い合戦”の様相を帯びているだけに総力戦の構えだ。安倍氏が地盤とした山口4区は安倍後継に指名された吉田真次(下関市議3期)と立憲民主党公認の有田芳生(ジャーナリスト・元立憲民主党参院議員2期)の一騎打ちである。同2区は安倍の弟・岸信夫前防衛相の地元であり息子・信千世(元フジテレビ社会部記者)が野党統一候補の平岡秀夫(元衆院議員・野田佳彦民主党政権法相)の挑戦を受ける。自民公認候補の岸,吉田は当選すれば共に安倍派入りする。和歌山1区は二階派(志帥会・42人)前衆院議員の門博文と日本維新の会公認の林佑美(和歌山市議)のガチンコ相撲の展開だ。▶︎

▶︎同区は二階俊博元幹事長のお膝元であり,同派挙げての選挙戦に臨む。一方の維新は衆院小選挙区で大阪府,兵庫県に続く議席獲得に全力投球しており,自民候補をキャッチアップ寸前まで追い上げている。「政治とカネ」で辞職した薗浦健太郎元首相補佐官の千葉5区は自民公認の英利アルフィヤ(元国連事務次長補付特別補佐官),立民の矢崎堅太郎(前千葉県議),国民民主の岡野純子(浦安市議),維新の岸野智康(元団体代表),共産の斉藤和子(元衆院議員)の乱立状態。薗浦が麻生太郎副総裁側近だったこともあり,麻生派(54人)の河野太郎デジタル相主導で英利を擁立した。
現時点で衆院4補選のうち自民に勝機があるのは山口の2選挙区だけだ。和歌山は自民・門が維新・林の猛追を受けており,千葉では知名度が低い自民・英利が伸び悩んでいる。参院大分選挙区は立民公認,共産・社民推薦の吉田忠智(前立民参院議員・元社民党党首)と自民党公認の白坂亜紀(東京銀座の飲食店経営・作曲家瀧廉太郎記念館が生家)と激しいバトルを演じている。参院自民の議席増を狙う世耕弘成参院幹事長ら安倍派は大分にも傾注しているが,もともと社民支持者が根強い同地は99歳の村山富市元首相も応援するなど吉田が頭ひとつリードしている。このように自民は5補選で厳しい戦いを余儀なくされている。良くて3勝2敗,下手すれば2勝3敗もあり得る…(以下は本誌掲載)申込はこちら