5月27日付 G7広島サミットの大成功で岸田首相の「無双ぶり」が止まらない…!各国首脳が大絶賛した理由と「次の一手」

どうやら岸田文雄首相は「ツキまくる岸田」から「天下無双の岸田」に変貌を遂げたようだ――。改めて言うまでもなく、G7広島サミット(5月19~21日)の大成功が岸田氏にとってフォローの風(追い風)となったのは間違いない。マスコミ各社の世論調査で内閣支持率が急上昇したこと、東京証券取引所の日経平均株価が33年ぶりの3万1000円超に急騰したことにそれは見て取れる。ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領のサプライズ参加がこの「サミット効果」に大きく寄与したのは疑う余地がないが、岸田氏が議長としてG7サミット協議で発揮したリーダーシップも看過すべきではない。
 具体例を挙げよう。些事と言われる向きもあろうが、サミット2日目の20日の「首相動静」から説明したい。同日午前7時39分から宿泊先のグランドプリンスホテル広島でインドのナレンドラ・モディ首相を皮切りに、インドネシアのジョコ・ウィドド大統領、ブラジルのルラ・ダシルバ大統領と会談。10時10分からG7サミットの第4セッション(パートナーとの関与の強化)出席、記念撮影。午後0時10分に第5セッション(経済的強靱性・経済安全保障)開始。2時33分、招待国首脳・国際機関代表を出迎え。3時19分、第6セッション(複合的危機への連携した対応)開始。5時10分、記念撮影。5時40分、インフラ投資に関するサイドイベント。6時44分、第7セッション(持続可能な世界に向けた共通の努力)開始。8時43分、日米豪印(クアッド)首脳会議。9時50分、G7首脳、招待国首脳夫妻と夕食会。11時20分、クック諸島のマーク・ブラウン首相と会談。文字通り分刻みのスケジュールだ。岸田氏は夜10時から夕食会のホストを務め、終わった後の11時半前から南太平洋の島嶼国トップを相手に会談した。翌朝は7時30分から裕子夫人を伴い尹錫悦韓国大統領夫妻と広島平和記念公園の韓国人原爆犠牲者慰霊碑献花の予定が入っていたのだ。疲労困憊の岸田氏は30分に満たない深夜会談でもブラウン氏の質問一つひとつに丁寧に答えたのだ。一夜明けたサミット最終日昼までに、同氏を通じて招待国首脳全員に同氏の「誠実さ」が伝わっていたという。▶︎ 

▶︎ヨイショに過ぎると言われるかもしれない。だが、事実は事実として記しておきたい。次は首相のリーダーシップについて。今回サミット協議の課題に通底したのは対中国メッセージだった。21日に発表された首脳宣言に「(中国とは)デカップリング(切り離し)ではなく、……デリスキング(リスク回避)に基づく経済的強靱性と経済安全保障へのアプローチで協調する」と、相対するワーディングが盛り込まれている。対中路線のダブルスタンダードとの批判がある。
 しかし、首脳議論を通じて明らかになったのは「法の支配による国際秩序の守護」と「力または威圧による現状変更は認めない」がキーワードになり、その契機となったのは岸田氏がサミット開幕前日の日米首脳会談でジョー・バイデン米大統領に語った冒頭発言である。「サミットでは、日米が共に掲げる法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守っていくG7の揺るぎない意思を示したい」と述べた上で「日米同盟はインド太平洋地域の平和と安定の礎である」と語ると、バイデン氏が「日米が共通の価値観のもとで行動していることを誇りに思う」と応えたのである。これがまさに台湾有事を念頭にした対中メッセージの中核となった。対中姿勢では斜に構えるところがあるにしても、その基本には揺らぐものはないと言っているのだ。こうした岸田氏の立ち位置はリシ・スナク英首相やエマニュエル・マクロン仏大統領だけでなく、「グローバルサウス」の盟主・モディ印首相にもきちんと通じている。
 事実、モディ氏周辺から「表で言えることと裏でしか言えないことがあるのを理解してもらいたい」との反応が日本側に伝えられているのだ。「なかなかやるじゃん」というのが、筆者の率直な感想である。次なる関心事は、自信を深めた岸田氏がどのタイミングで伝家の宝刀(=衆院解散)を抜くのかである。外交攻勢が一段落する今秋ではないか。