5月29日付 広島サミットの大成功で高揚感に浸る岸田首相 次なる「外交攻勢」で今秋の衆院解散・総選挙に虎視眈々

最近、「バフェット効果」なる言葉をよく耳にする。齢92歳の著名な米投資家ウォーレン・バフェット氏のことである。5月6日、米ネブラスカ州オマハで同氏率いるバークシャー・ハサウェイの年次総会(通称「投資家の祭典」)が開催された。何と米国を含め世界各国から約4万人のバフェット信奉者が集まったのだ。
 同氏は4月11日の来日時に続いて「日本買い」を宣言した。それが東京株式市場の日経平均株価の33年ぶりの3万1千円超えの最大要因である。次に、最新のメディア各社の世論調査をチェックする。共同通信調査(5月27~28日実施)の内閣支持率は前回比●㌽増の●%だった。読売新聞(19~21日)が同9㌽増の56%。こちらは「サミット効果」で急上昇だ。かくして永田町では早期の衆院解散・総選挙説が急浮上である。
 筆者はかねて「7月11日公示・23日投開票」ではなく、今秋の「9月12日公示・24日投開票」か「10月17日公示・29日投開票」のいずれかであるとの見立てを紹介してきた。先週半ばに会った政府高官も、衆院小選挙区の「10増10減」を巡る自民、公明両党の候補者調整が不調に終わる可能性が高いことから、早期解散・総選挙説に疑問を呈した。▶︎ 

▶︎さらに同氏は、今後の米国景気後退の影響を受けて夏以降、日本経済が減速を余儀なくされ第2四半期(7-9月期)決算発表は12月になり来年早々の総選挙も難しいと指摘したのである。すなわち、今秋の衆院選はほぼ間違いないと言っていい。G7広島サミット(5月19~21日)の大成功で高揚感に浸る岸田文雄首相は次なる外交攻勢に打って出る構えだ。7月11~12日、リトアニアの首都ビリニュスで開かれるNATO(北大西洋条約機構)首脳会議にパートナーとして参加する。
 同時期にはウクライナのゼレンスキー大統領が広島で発表した「平和サミット」も開催される。岸田氏はこれに合わせて中・東欧諸国歴訪も検討している。9月9~10日にはインドの首都ニューデリーで主要20カ国・地域(G20)首脳会議、同中旬は国連総会での一般討論演説。11月のAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議(米サンフランシスコ)、12月の日・ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会議(東京)もある。岸田外交全開だ。手ぐすねを引いて待つ岸田氏の顔が思い浮かぶ。どうやら「ツキ男」だけではなさそうだ。