6月13日付 ウクライナ復興構想に日本のスタートアップ企業が関与 東工大発のつばめBHB社、DeNA傘下のアルム社

最近の経済主力の新聞や雑誌などを繰っていて目に留まる用語のベストワンは、間違いなく「Chat(チャット)GPT」か「スタートアップ企業」のいずれかであろう。本稿では後者を取り上げるが、グーグルで検索すると次のように定義されている。「起業や新規事業の立ち上げを意味する言葉ですが、特に革新的なアイディアで短期的に成長する企業を指します」もちろん、理由がある。英国、ウクライナ両政府共催の「ウクライナ復興会議」がロンドンで開かれる(6月20~21日)。60カ国以上の国、国際機関、民間団体から1000人規模が参加する。主要7カ国(G7)の外相、国連を始め国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)などの代表も出席。ウクライナ戦争の真っ只中に戦後復興を視野に入れた国際会議だ。ロシアが占領する領土奪回を目指すゼレンスキー大統領はこれまで以上の人道・軍事支援を求めている。だが、200兆円とも言われる復興ビジネスに乗り遅れたくないというのが各国の本音だ。
 では、日本のウクライナ復興へのスタンスはどのようなものなのか。一言でいえば、官民一体で戦時下のウクライナが様々な分野で直面する危機打開の救援プロジェクトを計画・実施しているのだ。▶︎

▶︎具体例を紹介する。小麦生産大国のウクライナは今、深刻な肥料不足にある。東京工業大学発のスタートアップ企業つばめBHB社は、グリーンアンモニア製造の技術を持つ。同社は5月に現地企業UTEM社、ポーランド企業Hynfra社とブチャ市にプラント建設し、グリーン肥料生産の合弁会社設立で合意。ロンドン会議において基本合意契約書(MOU)を締結する。戦争長期化による医療分野で逼迫に苦しむ同国向けに各種の医療支援を実施しているのがディー・エヌ・エー(DeNA)傘下のスタートアップ企業アルム社である。同社はイスラエル、台湾、ブラジルと協力して、医師不足打開のため専門医による遠隔診療サービスやポータブル医療機器の提供、医療従事者ネットワークの構築などを目指している。同社もまた復興会議開催中にウクライナ保健省とのMOU締結が予定される。
 まだ他にも計画はある。経済産業省は現在、ウクライナの首都キーウ~西部都市リヴィウの鉄道網近代化への参画、ウクライナから隣国モルドバ経由でEU諸国に至る鉄道インフラの修繕・整備計画を策定中である。こうした復興構想にも我が国のスタートアップが関与する。エールを送りたい。