6月19日付「対中抑止へ密かに進めた日米比『新たな枠組み』ージャロプス、『クアッド』などと連携」

先週の6月16日、東京・麻布台の外務省飯倉公館で日米比3カ国の安保担当高官会議が開催された。出席したのは、秋葉剛男国家安全保障局長、ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)、そしてフィリピンのエドゥアルド・アニョ大統領顧問(国家安全保障担当)の3人である。前日の15日には同所で日米韓3カ国安保担当高官協議が開かれている。こちらは秋葉、サリバン両氏に加えて、韓国の趙太庸国家安保室長が出席。手前味噌で恐縮だが、筆者が主宰する情報誌『インサイドライン』(6月10日号)で「秋葉氏の招きでサリバン、アニョ両氏が15日に来日し、日米比安全保障協定締結を基本合意する」と書いた。満を持して報じたものだった。
 だが、発行日の産経新聞(9日付朝刊)の一面トップに「日米比、安保で新枠組み―対中抑止、16日初会合へ」の大見出しが躍っており、仰天した。業界用語で言う「同着」である。フォローしたメディアは3社のみ。当日午後4時に共同通信がロイター電を伝える形で「日米比、16日安保協議へ」とワシントン発で配信した。NHKは翌10日午前11時17分、「日米比、安全保障の連携強化で新たな枠組み―中国念頭に」と報じた。 ▶︎

▶︎そして日本経済新聞(14日付朝刊)はわずか9行のベタ記事「日米比の安保高官会談へ―16日に、都内で」。この中国を念頭に置く新しい安保枠組みを、日米比(Japan, Republic of Philippines, USA )の頭文字から「Jaropus」と呼ぶ。日米豪印4カ国の枠組みを「Quad(クアッド)」と呼称するように、報道各社は今後「Jaropus(ジャロプス)」と表記することになる。筆者はそこまで情報誌に書いていた。 
 そして同構想は年初来、秋葉氏がカウンターパートのサリバン氏との間で秘かに進めていたのだ。フィリピンのドゥテルテ前政権は対中傾斜を強めたが、昨年6月のマルコス政権誕生を機に、日米が連携してその路線転換を働きかけてきた。1月のサリバン・アニョ会談で、ルソン島北部の軍事基地の米軍使用で合意したことが大きかった。
 決定打となったのは6月3日にシンガポールで行われた日米豪比の初めての4カ国防衛相会談である。要は、岸田文雄政権の対中国スタンスは日米同盟を基軸に日米韓、Quad、Jaropusの強化、ASEAN(東南アジア諸国連合)、NATO(北大西洋条約機構)主要国とも連携した抑止策を打ち出すということなのだ。