6月26日付「ウクライナ復興ビジネスのチャンス到来」

ウクライナ復興会議は6月21~22日、英国の首都ロンドン南東部の新興開発地区グリニッジにあるインターコンチネンタル・ロンドン‐TheO2 で開催された。 英国、ウクライナ両政府が共催した復興会議には61カ国の各政府関係者や民間企業約400社、欧州連合(EU)、世界銀行など30の国際機関、市民団体の代表が出席した。会議初日はリシ・スナク英首相、デニス・シュミハリ・ウクライナ首相、ウルズラ・フォンデアライエンEU委員長、アントニ―・ブリンケン米国務長官、林芳正外相らが基調演説を行った。
 冒頭にオンラインで演説したウォロディミル・ゼレンスキ―大統領は「ウクライナは今後何十年にもわたって欧州で最大の経済、産業、技術の成長源になるだろう」と述べ、復興に向けた支援・投資を求めた。世界銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)やウクライナ政府の推計によると、復興の必要額は4110億㌦(約58兆円)とされる。だが、欧米のプラント・エンジニアリング企業は100兆円規模と試算する。「成長源になる」は正しい。まさにウクライナ復興ビジネスのチャンス到来を意味するのだ。▶︎ 

▶︎復興会議直前の19日午後、首相官邸で「ウクライナ経済復興推進準備会議」(議長・木原誠二官房副長官)が開かれた。木原氏は関係省庁に対し、両国の官民による協議を実施し、ウクライナ側の具体的要望の取りまとめを指示した。こうして林外相は演説で、早ければ年末、遅くとも来年初めにウクライナ政府関係者らを日本に招き、日本企業の投資拡大を協議する「日・ウクライナ経済復興推進会議」を開催すると表明した。シュミハリ首相と同日の個別会談で同会議出席を要請し、快諾された。
 さらに復興会議2日目の22日に経済産業省、外務省、JETRO(日本貿易振興機構)共催の「日・ウクライナ官民ラウンドテーブル」に会議参加の日本企業46社とウクライナ企業の代表を招き、具体的な投資案件について意見交換を行ったのだ。日本の参加企業は、資源エネルギー・インフラ・産業機械・航空宇宙の総合重工業メーカーのIHIを始め、日立グループで公益事業・産業・インフラ分野中核の日立エナジー、インターネット・金融関連サービス大手の楽天グループなどである。日本主導のウクライナ復興構想を描く経産省の念頭に中国がある。同国は、第2次世界大戦後の欧州復興計画(マーシャル・プラン)に倣う中国版「ウクライナ・マーシャル・プラン」を構想し、習近平指導部が傾注する「一帯一路」のゴールとする腹積もりなのだ。