7月11日付 予定調和の霞が関に衝撃「異例」の年次逆転人事 岸田官邸の意向を強く反映、中堅幹部クラスでも際立った人事が

霞が関の官僚群は、岸田文雄政権による夏の定期人事異動に少なからぬ衝撃を受けた。7月4日、防衛事務次官に増田和夫防衛政策局長(昭和63年旧防衛庁入庁)、防衛審議官に芹沢清官房長(61年)、官房長に中嶋浩一郎首相秘書官(平成元年)、防衛政策局長に加野幸司内閣審議官(同)に起用を決めた。防衛審議官を除く発令は14日付。先立つ6月27日に発表された経済産業省人事(7月4日付発令)は以下の通りだった。事務次官・飯田祐二前経済産業政策局長(63年旧通商産業省入省)、経済産業審議官・保坂伸前資源エネルギー庁長官(62年)、資源エネルギー庁長官・村瀬佳史前内閣府政策統括官(平成2年)、中小企業庁長官・須藤治前福島原子力事故処理調整総括官(元年)、経済産業政策局長・山下隆一前製造産業局長(同)である。藤木俊光官房長(63年)は留任。
 「予定調和の人事」を遺伝子(DNA)に持つ霞が関に衝撃が走ったのは、経産、防衛両省次官が「異例」の年次逆転となったことだ。飯田経産次官は保坂経産審議官の1年下であり、増田防衛次官も芹沢防衛審議官の2年下である。ちなみに増田氏は私立大学卒業(慶大法学部)で防衛省初の次官である。外務省の次期事務次官が有力視される山田重夫外務審議官(61年)とは慶大時代のゼミ同級生。この年次逆転人事には岸田官邸の意向が強く反映されている。▶︎

▶︎経済産業政策局長として飯田氏が政権の目玉政策「GX(グリーントランスフォーメーション)戦略」を手掛けたことを高く評価した。一方、省内では上司に物怖じせず諫言すると好感されている。
 一方、慶大在学中の応援団長の増田氏は外務省出向経験もあり、外交・安保関係の人脈がある。平成26年1月の国家安全保障局発足に当たって尽力したことも評価した。ところで中堅幹部クラスでも際立った人事が少なくない。財務省は、近年では「最強トリオ」とされる茶谷栄治事務次官(61年旧大蔵省)、神田眞人財務官(62年)、新川浩嗣主計局長(同)が留任。主税局長に転出した青木孝徳官房長(平成元年)の後任に宇波弘貴首相秘書官(同)、首相秘書官には一松(ひとつまつ)旬主計局企画担当主計官(7年)を起用した。平成7年同期では件の一松氏、外務省の高羽陽総合外交政策局安全保障政策課長、経産省の香山弘文官房総務課長が「霞が関三羽烏」とされる。同氏は官邸を差配する嶋田隆首相首席秘書官とは開成高校同窓でもある。