7月24日付 日本『台湾海峡危機政策』の危うさー『戦略的コミニュケーション』て何?

7月20日早朝、BSフジの看板番組「プライムニュース」(19日夜8:00放映の特集「台湾有事と日本の防衛想定シナリオ徹底検証」)を録画で観た。日本戦略研究フォーラム(屋山太郎会長)が15~16日に台湾や尖閣諸島(沖縄県石垣市)での有事を想定した「台湾海峡危機政策シミュレーション」を開いた。同研究フォーラムはこれまで「第1回台湾海峡危機 日本はいかに抑止し対処すべきか」(令和3年8月)、「第2回台湾海峡危機 日本はいかに備えるべきか」(同4年8月)の政策シミュレーションを開催しており、今回は3回目である。この机上演習には、自民党の国会議員11人、安全保障政策に関わった元政府関係者、自衛隊OB、安保政策に通暁した研究者・ジャーナリストが参加したほか、元米政府関係者、台湾国防安全研究院メンバーも加わった。
 今回のシミュレーションは4年後の2027年1月に中国軍が台湾に侵攻し、台湾有事が日本有事に発展する想定で、国家安全保障会議(NSC。議長・首相)9大臣会合で議論する形式で進行した。▶︎

▶︎「プライムニュース」に出演したのは首相役を務めた小野寺五典元防衛相(自民党安全保障調査会長)、中国の最高指導者役の村井友秀東京国際大学特命教授(元防衛大学校教授)、古森義久産経新聞ワシントン駐在客員特派員)の3人。キャスターは裁きの達人であり、ズバリ物言うことで知られるフジテレビの反町理報道局解説委員長。①サイバー攻撃や偽情報(ディスインフォメーション)などの前哨戦、②中国による台湾侵攻(台湾上陸)、③中国が日本にも武力攻撃(日中武力衝突)のシナリオを記したフリップを手に反町氏は小野寺氏に質問の速射砲を浴びせる。
 さらに台湾海峡及び尖閣・先島諸島を巡る一触即発のエスカレーションを「重要影響事態(米軍の後方支援)」→「存立危機事態(機雷掃海、米軍装備防護)」→「武力攻撃事態(武力行使)」のどれに認定するのかと、日米安保条約第6条との整合性について鋭く質した。もちろん、自民党国防族有数の理論家である小野寺氏は淀みなく答える。だが、武力侵攻された台湾支援のため、米軍は果たして在日米空・海軍基地から航空機・艦船を周辺空域・海域に派遣できるのか―という素朴な疑問に一言で答えられない。日本政府の了承は事前・事後のいずれなのか。小野寺氏は「有事の時、政治家に求められるのは戦略的コミュニケーションだ」と言う。それっていったい何なの?