9月4日付『大阪・関西万博』実際の進捗ー1年延期やむなしの声も

2025年国際博覧会(大阪・関西万博)の開催を危ぶむ声が少なくない。岸田文雄首相は8月31日午後、官邸で西村康稔経済産業相、岡田直樹万博担当相、吉村洋文大阪府知事(日本維新の会共同代表)らと協議、「万博成功へ先頭に立って取り組む」と表明した。経産省は先立つ同1日、日本国際博覧会協会(会長・十倉雅和経団連会長)を支援する担当のトップに前事務次官の多田明弘顧問(1986年旧通産省入省)、海外参加国との調整役に前経済産業審議官の平井裕秀氏(87年)を充てることを決めていた。海外パビリオンの建設準備の遅れなどが際立ち、前日の30日午後に西村、岡田両大臣が万博会場予定地を視察し、関係者に発破をかけたほどだ。
 それにしても年初来、万博協会のナンバー2である石毛博行事務総長(元経産審議官・74年)の取り組む姿勢に“熱量”を感じないとの指摘が聞こえていた。「オールジャパン」で臨む国家の大イベントの事務方トップの経産省元幹部に対する地元の関西経済連合会を始め、内閣官房に設置された大阪・関西万博推進本部職員からも不満の声があったのは周知の事実だ。ところが、石毛氏を事務総長に強く推した自民党の二階俊博元幹事長の威光を忖度したのか、批判が表に出ることはなかった。ちなみに石毛氏は2度目の二階経産相時の経産審議官である。▶︎

▶︎では、実際の万博進捗状況はどうなのか。8月8日午後、東京・永田町の自民党本部で「大阪・関西万博の準備状況について」と題した推進本部の会合が開かれた。経産OBの小鑓隆史参院議員が進行を務めた同会合の冒頭挨拶は、本部長の二階氏と万博担当相の岡田氏だった。出席者は万博協会からの石毛氏を始め、大阪府・市の副知事と副市長、経団連の副会長・事務総長、関経連の専務理事、大阪商工会議所の専務理事、全国知事会の事務総長らのほか、官界から内閣官房推進本部、経産省、内閣府、総務省、外務省、財務省、国交省、観光庁、環境省の中堅幹部約40人である。
 同会合で配布された『海外パビリオン建設の状況』には「基盤インフラ:博覧会協会が遅延なく対応中、主要建築物:会期開始までに完工可能な見込み、海外パビリオン:会期開始までに完工可能な見込み」と記述されている。だが、首肯する関係者は殆どいない。ゼネコン幹部は「ドバイ万博のように1年延期止むなし」と言う。さて、万博に政治生命がかかる吉村知事の胸中はいかなるものか。