No.684 10月10日号 否定できない「12月総選挙」説

先週末の10月6日午前,本誌編集部に「徳島・高知参院選補欠選挙調査結果一覧」と題したA4版2枚が送られてきた。目を通して驚いた。衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の両補選は22日の投開票である。両補選は事実上の与野党一騎打ちとなり,20日召集の第212回臨時国会中に岸田文雄首相が衆院解散に踏み切るのかの判断材料となるとして永田町で耳目を集めている。参院徳島・高知選挙区に関して,本誌は手元にある2013~22年の参院選4回と14~21年の衆院選3回における旧徳島,高知両選挙区の比例票,各政党獲得票数など詳細なデータを参考に,自民公認の西内健高知県連幹事長(同県議4期)と無所属の広田一・立憲民主党元衆院議員の互角の戦いとなると見ていた。ところが冒頭の自民情勢調査(9月23~24日実施)によると,西内30.6%,広田38.4%という予想外の8P差で広田リードに仰天した。ただ調査実施が2週間も前であり,最新情勢を反映していないと疑問視する声もある。
 だが高地県出身の両候補は徳島県で共に知名度が低いという点で差がなく,現状は情勢調査の結果通りとして自民党執行部は敗北の可能性大と覚悟する。一方の衆院長崎4区補選は自民の北村誠吾元地方創生相(岸田派)の死亡に伴うものだ。自民が擁立したのは昨年夏の参院選前に引退した金子原二郎元農水相(元長崎県知事)の長男・金子容三であり,立民は21年越しで国政の夢を果たした末次精一衆院議員(21年総選挙で北村に391票差で敗れ比例復活)をオール野党候補として担ぐ。▶︎

▶︎長崎4区は昨年末の衆院小選挙区の定数を「10増10減」した区割り変更で新3区として再編された。衆院解散のタイミングと関係なく次期総選挙の試金石となる。それだけに祖父・岩三と父・原二郎が共に農水相経験者で宏池会(岸田派)に所属した政治一家3代目の金子は必死であり,総裁派閥も総動員態勢で臨んでいる。自民執行部は「1勝1敗」を織り込み済みとされるが,万が一,「2戦2敗」になると岸田の解散戦略に大きく影響する。
 奇しくも同6日の岸田は終始上機嫌だった。金融庁が海外の投資家や資産運用会社を招待して「投資される国・日本」をアピールする「Japan Weeks」(9月25日~10月6日)最終日であり,前日5日夜に東京・赤坂の迎賓館で米資産運用最大手ブラックロックが主催した夕食会に出席,挨拶した。同社のラリー・フィンク最高経営責任者(CEO)を始め,米有力民間ファンドGIP(グローバル・インフラストラクチャー・パートナーズ)のジム・ヨン・キム副会長(元世界銀行総裁),みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長・CEO,ゆうちょ銀行の池田憲人社長,世界有数の投資会社KKR(コールバーグ・クラビス・ロバーツ),シンガポール政府系ファンドのテマセク・ホールディングスなど20機関の国内外の金融機関トップが「資産運用立国」構想をこぞって誉め讃えたからだ…(以下は本誌掲載)申込はこちら