10月20日、第212回臨時国会が召集される。現在の永田町の関心事は、果たして岸田文雄首相が会期中に衆院解散に踏み切るのか、それとも今秋解散を見送るのかの一点に集中している。筆者は本コラム(9月26日付)で「年内の衆院解散・総選挙は『60%』―野党の体たらくを見逃すはずがない」と書いた。
即ち、年内総選挙の可能性が高いと。召集翌々日の22日に衆参院2補欠選挙が実施される。衆院長崎4区と参院高知・徳島選挙区である。事実上の与野党一騎打ちの両補選は次期衆院選の試金石となる。それゆえに与党・自民党、野党・立憲民主党は共に総力戦で臨んでいる。とりわけ自民党総裁派閥(宏池会)は、衆院補選が北村誠吾元地方創生相の死去に伴うもので、公認した金子容三氏が昨夏参院選前に引退した金子原二郎元農水相の長男であるだけに負けるわけにいかない。なぜならば北村、金子両氏は岸田派所属だったのだ。肝心な両補選の見通しである。自民党執行部の茂木敏充幹事長や前選対委員長の森山裕総務会長は長崎僅差の勝利、高知・徳島完敗の「1勝1敗」を織り込み済みだという。▶︎
▶︎だが、万が一「2戦2敗」になると、岸田氏の解散戦略に大きな影響を与える。年内解散・総選挙どころでなくなる。本稿では可能は低いが「2戦2勝」、そして「1勝1敗」のいずれかを前提に論考を進めたい。 臨時国会最大の焦点である経済対策と、財源の裏付けとなる2023年度補正予算案に関する国会日程を考慮に入れて衆院解散のタイミングを探る。 言わば「頭の体操」である。最速の解散シナリオは次のようなものだ。20日の召集冒頭で首相所信表明演説、財務相など政府演説、各党代表質問を終えて、予算委員会審議入り前の25日に解散。11月14日(大安)公示・26日(大安)投開票。
一見美味しそうな経済対策のメニューを用意するだけの解散だ。補正予算案(額やその中身など)を巡り野党からの批判を回避するためだ。次のシナリオは、財源の裏付けがある経済対策の具体策(物価と賃上げ)を前面に押し立てて総選挙を戦うというもので、所得税減税も盛り込む。補正予算は11月17日成立が見込まれており、翌20日の週に解散。12月5日(友引)公示・17日(先負)投開票である。もちろん、「2戦2敗」の可能性はゼロではない。その場合、岸田首相は来年1月召集の通常国会中にレイムダック化する可能性が強い。すなわち来秋総裁選で再選は叶わない。筆者は12月17日・24日総選挙説である。