11月7~8日、東京・麻布台の飯倉公館で、主要7カ国(G7)外相会合が開かれた。日本が今年のG7議長国であり、上川陽子外相が同外相会合を主催した。出席者はブリンケン米国務長官、クレバリー英外相、コロンナ仏外相、ベアボック独外相、タヤーニ伊外相、ジョリー加外相、ボレル欧州連合(EU)外務・安全保障政策上級代表の8人である。その8カ国のうち日本、フランス、ドイツ、カナダ4カ国は女性外相だ。今回のG7+EU外相会合の主題は、イスラエルとイスラム武装組織ハマスとの終わりなき戦闘をいかにすれば「人質の解放と一時停戦」を実現できるのかであった。筆者は、議長役の上川氏を含む女性外相チームが会議進行にどれほど影響を与えたのかに、とりわけ注目した。
案の定、上川氏とコロンナ両氏が議論を終始リードし、バイデン米大統領が最も信頼する能吏ブリンケン氏も顔負けするほどだったという。カトリーヌ・コロンナ氏(67)。パリ政治学院(大学)、エリート官僚養成校(グランゼコール=大学院)である国立行政学院(通称、ENA)を卒業後、外務省入省。その後の外交官キャリアが凄い。駐米大使館勤務を皮切りに、シラク大統領報道官、欧州問題担当相など経て駐伊大使、駐経済協力開発機構(OECD)代表、駐英大使を歴任。スーパー外交官なのだ。一方の上川氏(70)も決して負けていない。東大教養学部卒業後、三菱総合研究所研究員。同研在籍中に米ハーバード大学ケネディスクールで政治行政学修士号取得。▶︎
▶︎その後、当時のマックス・ボーカス上院議員(民主党)の政策スタッフを務めた。帰国後の1988年12月、グローバリンク総合研究所を設立・代表に。2000年6月の総選挙に無所属で静岡1区から出馬・当選を果たす。第1次安倍晋三改造内閣で少子化対策・男女共同参画相(当選3回)、第2次安倍内閣と第3次改造内閣で法相を歴任、菅義偉内閣で3度目の法相。そして9月の岸田文雄第2次改造内閣で外相就任。衆院当選7回(岸田派)。
こうしてG7外相会合は7日夜のワーキングディナー、8日の昼食会を含む全体会合を経て共同声明を発出して終了した。注目すべきはその内容である。現時点で二国家解決(イスラエルとパレスチナ自治政府)に向けた交渉開始のハードルは高い。それでも、ガザ地区での戦闘の「人道的休止」提案が盛り込まれた。そして9日にイスラエルは「毎日4時間戦闘休止」に同意した。一応の「外交成果」と言えよう。