ドナルド・トランプ前大統領は、11月5日の米大統領選共和党候補に確定した。共和党予備選は1月15日のアイオワ州党員集会、続く23日のニューハンプシャー州でトランプ氏がロン・デサンティス・フロリダ州知事とニッキー・ヘイリー元国連大使に圧勝。デサンティス氏は予備選からの撤退を余儀なくされ、トランプ支持を表明した。そしてヘイリー氏も2月24日の地元サウスカロライナ州で大差をつけられて敗れるのは必至だ。同女史もまた3月5日のスーパーチューズデー(カリフォルニア、テキサスなど13州の予備選・党員集会)を前に撤退に追い込まれそうだ。トランプ氏ぶっち切りの独走状態である。7月15~18日、ウィスコンシン州のミルウォーキーで開催される同党大会で正式に大統領候補に指名される。
一方の民主党は、8月19~22日にイリノイ州シカゴで開く党大会で再選を目指す現職のジョー・バイデン氏を大統領候補に選出する。いよいよ「81歳バイデンvs78歳トランプ」のガチンコ相撲だ。現実の相撲では考えられない老齢同士の闘いである。米選挙予測専門家の情勢分析を総合すると、55対45でトランプ優勢が現在の相場観と言えよう。「トランプ人気」が衰えずといえども、夏以降の本選となれば必ず無党派層を含む「トランプだけは絶対嫌だ」という声が表面化するとの、半ば期待を込めた見通しも吹き飛んでしまった。日を追うごとに目一杯アクセルを吹かすトランプ氏にはブレーキが必要ないように見える。▶︎
▶︎もちろん、理由がある。その一つが、トランプ選挙対策本部のプロフェッショナル化である。そう、平たく言えば、「選挙のプロ」を陣営に迎えたのだ。トランプ選対の中心はかつてスピーチライターを務めたスティーブン・ミラー元大統領補佐官(政治担当)である。
そうした中で、昨年末にトランプ陣営は2人の「プロ」を招請した。以前はデサンティス選対幹部だったスージー・ワイルズ氏。そして「プロ中のプロ」と言うべきクリス・ラシヴィタ氏である。選挙キャンペーン上級顧問として迎えられた同氏は、もともと共和党系関係者を顧客とする政治コンサルタントだ。さらにトランプ氏を間接的に支援する選挙資金団体MAGA Inc.のチーフ・ストラテジストも兼務。「トランプ陣営の選挙戦は以前よりスマートになった」――。巨額資金に物を言わせたプロの起用が奏功したのだ。「政治とカネ」で揺れる日本だが、桁違いの米大統領選の凄さを思い知らされる日々である。