<二千兆円を超える日本の個人金融資産を「国民所得の伸び」と「稼ぐ力」に役立てます。年初から抜本的に拡充した「新NISA」がスタートしました。家計の資金が投資に向かい、企業価値向上が家計の所得増につながり、さらなる投資や消費が生まれる、という好循環の実現を目指します>。 岸田文雄首相が1月30日に衆参院本会議で行った施政方針演説で、(資産運用立国)について言及した件である。同日(現地時間)、米ニューヨーク証券取引所(NYSE)のダウ平均株価の終値は前日比133.86㌦高の3万8467.31㌦となり、4日連続で過去最高値を更新した。
空前絶後の株価急騰を牽引するのが、金融関連株である。その中でも特筆すべきは、総資産3.9兆㌦(約572兆円)の米銀最大手JPモルガン・チェース(ジェイミー・ダイモンCEO)と、総資産1.4兆㌦(約205兆円)の世界有数グローバル金融会社ゴールドマン・サックス(GS。デービッド・ソロモンCEO)の2社である。一方、首相施政方針演説翌日31日の東京証券取引所の日経平均株価は、前日比220円高の3万6286円で引けた。こちらも連日の高騰である。ニューヨークに共鳴し東京も株高が続いているのだ。岸田氏は「それ見たことか」と、ほくそ笑んでいるに違いない。▶︎
▶︎報道によると、新しい少額投資非課税制度(NISA)を使った個別株投資が年初から約2週間で4600億円を超えたという(ネット証券5社経由)。具体的には日本たばこ産業(JT)、三菱UFJ、NTT、三菱商事、トヨタ自動車など優良株である。購入額上位はいずれも高配当利回り株だが、新NISA導入で非課税の個別株購入可能額が年間最大240万円となり、個人投資家の投資フィーバー到来は確実だ。
こうした中で、興味深いマネービジネスに関する各種統計が相次いで発表された。その一つは、英ロンドン証券取引所グループ(LSEG)がまとめた世界の投資銀行手数料ランキング(23年)である。以下、順位。①JPモルガン②GS③バンカメ(BofA)④モルガン・スタンレー。米欧銀が上位を占める中、みずほフィナンシャルグループが10位に初登場した。同行はやっと本業での躍進だ。次のデータは日本関連のM&A(合併・買収)助言ランキングだ(同年)。こちらはJPモルガン、GSなどを差し置いて①野村證券②三菱UFJモルガン③みずほ―の順である。要は、日本の銀行・証券が頑張っているのだ。「資産運用立国」、満更でもないようである。