「政権運営 合わない呼吸―自民党内批判,首相唐突な打開策・執行部『内向き論理』」――。読売新聞(3月9日付朝刊)4面トップの見出しだ。同記事リードはこう書いている。<岸田首相(自民党総裁)と自民党執行部の間で,政権運営を巡って呼吸が合わない局面が続いている。
……党内では,支持率低迷の中で首相が唐突に局面打開策を打ち出すことへの反発がある一方,執行部側に対しても「内向きの論理に偏っている」との批判が出ている>。要は,首相と執行部に隙間風が吹いているというのである。年初来,自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて1月18日の突然の「岸田派(宏池会)解散声明」に続き,2月28日には党執行部に事前連絡なく衆院政治倫理審査会出席を表明するなど「独断専行」との批判が少なくない。
一方,首相サイドは政治資金の裏金化の“家元”とされる安倍派(清和会)の幹部処分や衆院政倫審出席に関する執行部の対応に不信感を抱いた。加えて2024年度予算案の3月2日の衆院通過を巡る国会運営における与野党協議に殆ど関与しなかったとして茂木敏充幹事長らに強い不満があった。▶︎
▶︎こうした最中,自民党は7日夕に党政治刷新本部(本部長・岸田文雄首相)の会合を開き,「党則」,「党規律規約」,「ガバナンスコード(統治方針)」の改正(改訂)案を示し,出席した国会議員に了承された。そのガバナンスコード改訂案の「基本原則6-1政策集団の在り方」に次のような記述がある。<資金力と人事への影響力を背景に党所属の国会議員を集め,数を増やし,さらにその数の力によって影響力を増やそうとする組織を「派閥」と定義し,こうした旧来の「派閥」の存続及び新たな設立を禁止する。さらに,政策集団において政治資金規正法等の違反が明らかとなった場合,党として審査を行い,事案に応じて一定期間の活動の休止もしくは解散を求める>。
加えて,自民党改革案の「党規律規約」には政治資金規正法違反事件に関して①会計責任者が逮捕・起訴された場合は議員に離党勧告や役職停止などの処分②会計責任者の有罪確定時には議員に除名か離党勧告の処分――を科せるとする規定を盛り込むと記されている。きちんと「派閥の禁止」も「規正法違反議員の処分」も明記されているのだ。そして17日,東京・品川のグランドプリンスホテル新高輪で開催される自民党大会で改正案を正式決定する…(以下は本誌掲載)申込はこちら