4月4日、自民党は党紀委員会(逢沢一郎委員長)を開き、派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて安倍、二階両派の議員ら39人に対する処分を決定した。
党規律規約が定める処分は8段階あり、処分は重い順から2番目の「離党勧告」2人、3番目の「党員資格停止」3人、6番目の「党役職停止」17人、7番目の「戒告」17人であった。 幹部級処分は以下の通り。離党勧告:安倍派前座長の塩谷立・元文部科学相と参院同派前会長の世耕弘成前参院自民党幹事長(同日に離党)。党員資格停止:安倍派元事務総長の下村博文元文科相、元事務総長の西村康稔前経済産業相の2人は1年間の停止、前事務総長の高木毅前国対委員長が半年間。党の役職停止:元事務総長の松野博一前官房長官、萩生田光一前政調会長、そして二階派の前事務総長の武田良太元総務相は1年間の停止。こうして見てみると、同じ安倍派「5人衆」でも処分の軽重差が明らかにあり、党内外で波紋を呼んだ。処分の実効性がない役職停止1年の萩生田氏に対し、世耕氏は離党勧告。▶︎
▶︎やはり「5人衆」で党員資格停止の西村氏は期間1年であり、高木氏は6カ月である。軽重差の基準が明確でないこともあり、党内から「軽すぎる」との声が上がる萩生田氏について、岸田文雄首相(総裁)・茂木敏充幹事長の情実処分との批判が少なくない。
事実、塩谷氏は党紀委員会に提出した弁明書に「スケープゴートのように安倍派の一部のみが、確たる基準や責任追及の対象となる行為も明確に示されず、不当に重すぎる処分を受けるのは、納得できず、到底受け入れられない」と強い不満を表明した。実際、岸田、茂木両氏の意向を受けた逢沢委員長が示した処分案は最終決定に至るまで迷走した。 とりわけ、麻生太郎副総裁が武田氏の党員資格停止処分を強く求めたことで紛糾し、岸田氏の調整力の無さが露呈した。もともと麻生氏は、事前に事実上の引退表明で処分を免れた二階俊博元幹事長とは犬猿の仲であることは周知である。
加えて地元・福岡県で武田氏と対立する。そこに森山裕総務会長がコミットしたことで複雑な勢力構図となった。要は、今回処分には党内政局(権力闘争)の側面があるということだ。それでも岸田氏は処分政局を強行突破して「6月末解散・7月総選挙」の意思を固めたようだ。その成否は大型連休明けの人事で誰を次期幹事長に据えるかで分かる。