7月7日投開票の東京都知事選は6月20日の告示を前に早くも情報戦の様相を帯びて来ている――。
立憲民主党の蓮舫参院議員(当選4回)は5月27日、党本部での記者会見で「自民党政治の延命に手を貸す小池都政をリセットする先頭に立つ」と言明した。一方の小池百合子知事は正式表明していないが、3選を目指し出馬することは既定である。現職の小池氏に蓮舫氏が挑戦する構図だが、同日午後にネット上ではカップ麺に準えて「赤いきつねと緑のたぬきの戦い」と紹介されるなど大きな話題となっている。
一時期、国政復帰説が取り沙汰された小池氏の国政キャリアを振り返る。1992年参院選(比例代表)に細川護熙元首相が創設した日本新党から立候補・当選。さらに翌93年7月衆院選で日本新党は代表の細川氏を含む35人が衆院初当選し、政界に衝撃が走った。その中で現役政治家は茂木敏充(自民党幹事長)、枝野幸男(立憲民主党前代表)、海江田万里(立民・衆院副議長)、山田宏(自民参院議員)、伊藤達也(自民衆院議員)、野田佳彦(立民・元首相)、中田宏(自民参院議員)、河村たかし(名古屋市長)、前原誠司(教育無償化を実現する会代表・衆院議員)の各氏。そして小池都知事である。▶︎
▶︎だが、その1年前に当選したばかりとはいえ参院議員だった小池氏が出馬希望の各氏を面接したとのエピソードが残っている。強気で知られる同氏の一側面を物語る。次は、蓮舫氏。何と言っても同氏が存在感を高めたのは、「仕分け人」として名を馳せた旧民主党政権時代だ。菅直人政権時に内閣府特命担当相(行政刷新)、同特命相(消費者・食品安全)、野田政権時の内閣府特命担当相(行政刷新・少子化・男女共同参画)を歴任。首相補佐官も務めた。留意すべきはその後の第2次安倍晋三政権時代。
とりわけ「森友学園」疑惑についての国会質問はテレビ中継で覚えている方が多いはず。蓮舫氏は大臣答弁より舌鋒鋭い追及が「性格」にも合っているとされる。では、情報戦とは何を指すのか。無所属立候補の蓮舫陣営は小池氏の「学歴詐称」疑惑を取り上げるという。他方、知事周辺も負けていない。蓮舫氏に「家庭崩壊」の理由を質すと息巻く。得するのは「赤と緑の戦い」と付和雷同するワイドショーだけである。6月4日の都議会代表質問で3選の意志を問われる小池氏が「諾」と答弁するシナリオだ。そう、お得意の焦らし戦法なのだ――。