米大統領選テレビ討論会は、6月27日午後9時(米東部時間・日本時間28日午前10時)から米CNNが中継した。ジョー・バイデン大統領(81)はドナルド・トランプ前大統領(78)を相手によくぞ90分間(CM放映2回を含む)乗り切った、というのが筆者の率直な感想だ。真っ当な事を語ったバイデン氏だが、15秒ほどの沈黙もあり、弱々しい印象を視聴者に与えたのは否めない。最悪のパフォーマンスだ。同氏は民主党支持層の危機感と投票意欲を掻き立てるとともに無党派層の取り込みを狙い、打って出た。
だが、勝敗はジョージア州アトランタの地元テレビ局が「78対22でトランプ勝利」と判定した。この結果が極めて重要なのは、今後の「選挙献金」動向に大きな影響を与えるからだ。先ずは支持率。焦点の激戦7州のトランプvsバイデンの支持率比較(5月22日、6月22日調査)である。 以下、いずれもトランプ氏から見た数値。①ウィスコンシン州0.3%増②ミシガン州0.2%減③ペンシルベニア州2.3%増④ジョージア州5.0%増⑤アリゾナ州4.8%⑥ネバダ州5.7%増⑦ノースカロライナ州5.3%増。唯一トランプ氏の支持率減少はミシガン州で、バイデン氏地元のペンシルベニア州でもトランプ氏のリードが広がった。▶︎
▶︎こうした勢いは5月の両陣営が集めた献金額にも表れている。トランプ氏は例のポルノ女優口止め料裁判の有罪評決後の2日間で8300万㌦(約110億円)も集めた。因って同月の選挙献金は1億4100万㌦と驚異的な金額に達した。バイデン氏は8500万㌦に留まった。 集金力の差が主要メディアの注目度の格差を招く。
トランプ氏は22日の米テレビ三大ネットワークNBCの取材で副大統領候補は決まったのかと聞かれ「私の中ではそうだ」と答え、さらに関心を高めた。新聞・テレビ各社によると、ダグ・バーガム(ノースダコタ州知事・67)、マルコ・ルビオ(フロリダ州選出上院議員・53)、J・D・バンス(オハイオ州選出上院議員・39)の3人に絞られたようである。何とニューヨーク・タイムズ紙は、スポットライトを一身に浴びたいトランプ氏の性格から、知名度の低いバーガム氏が最有力と報じた。得心では、バイデン氏再選のチャンスは皆無なのか。答えは否である。現状で有権者の4分の1が両氏を共に嫌っている。バイデン氏勝機は若者を投票所に向けさせることだ。